新月の空を見上げたら
眩暈がして世界が歪んだ
三日後に砂嵐が来る
この都会は銀の砂に埋もれ去る
当然のように女は陸橋から身を投げた
女の脱ぎ捨てた靴は雨に流れた
遠い街で君は蹴り殺される
僕はそういう夢をここ三日見続けている
満月の日に殺されても殺されても
新月の日に僕は舞い戻ってくるよ
痩せた色白の手首に
赤い毛糸を巻きつけた
もうこの手が
君から何も奪わぬようにと
夢を見ているベッドの窓辺
新月が風に揺れて落ちてきた
眠る呼吸の口元が受け止めた天体は
真冬の西瓜の味がした
水っぽくて青臭い
空の果実は熟れる前に光を無くす
君は氷の匂いの肌
抱きしめて眠って僕も息を止める
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