『うすくれ』(OffVocal)

コヨイノカミウタ

むらさき薫る夜暮れの街にて
雨のように身に浴びたくちづけ
伽藍の身に余る華と香を　水のように照らさる月の白
空の目玉　くすぶる暗がりからの視線
檻を越えて　来たるざらめ色の足音

「あたしの人になってよ」夢枕に哂う君
這う指　紅の口許が首根を食む
寒い秋暮れの手招き　淡い朝に晒す風
鈍い傷　残る柔肌伝う冷えた滴

昼夜佇む姿なき娘　また忍び寄るまじないの言葉

逆らって如何せん疲れた　肌一張羅まで替えないと
ねえあいつはどこの誰(だい)なの　憑かれた
空の目玉　くすぶる暗がりからの視線
夢を抜けて　来たるざらめのような白爪

「あたしのもとに来なさいな」宵がてらに這う虫
朧に引かれる手は冷たい　柔こい
寒い秋暮れの手招き　昏い夜に映える口紅(あか)
くちづく君の指は濁らす　僕の紅(あか)も