夕暮れ待って零れ落ちた
薄明を住処に今日を征く
羨んだ空の朱い熱も
疾うに隠れて仕舞うんだな
誰何(すいか)の聲も知らないわ
聴こえないように耳を塞ごう
消え返る泡沫で夢を描こう
そんな麗らかな夜が愛おしい
アイリスアウトが知っていた
正しい人生の終わり方を
綴られた紙片を探していた
何処にも無いと気付いていた
食んだ種を吐き出すように
歪んだ儘、ふらっと消えたストーリー
最終列車は夢の国
終点は微睡む夜の街
崩れて仕舞った今日の向こうが
酷く惨めで滑稽で
宛らトーキー
螺子巻きの私に
美しい音を聴かせてよ
此の感情に似た空蝉の原理
夜が魅せた君の明滅も
曖昧な儘に私語くような
欠けた世界で良いのにさ
水平線を辿るには
光が少し足りないのだ
借りた儘の言葉で嘘を吐こう
なんて幼気な日々すら恋しい
フォーマルハウトを追っていた
黒鶫が見下ろす海の色
青褪めた水底に集めていた
心はどうも濁っていた
賑々しく波立つ久方の外連に
聞き逃した言葉をもう一回、良いかい?
私に残った未来を数えて
空虚に描く飽きた有象に
悼んだ花、歌ったいつかのレイニー
昨日の言葉は知らん振り
読点に潜んだ影法師
淡い幸福、擦り切れたエーテル
曇り空を照らしていて
オーキードーキー
何方(いずかた)の祈りに
寂しさを寫す折々よ
また心象に浮かぶ造花の天使
いつか朽ちて失くした時計の
針が何時迄も止まらないから
生きて、生きて仕舞うようだ
どうしようも無いんだ
少しくらい、泣くくらい、良いでしょう?
草臥れて痛いから
今は休もうか
何処かで失くした光は疾うに
海の底へ沈んでいて
満ち征く埃(あい)に
取留めないメロディー
余さず集め弔うのだ
蜃気楼に紛れて幽く水平線が
さよならを隠して
何時迄もそんな嘘を辿るわ
君に見つからないように
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