『危ないですので、黄色い線の内側までお下がり下さい。』
誰もが何気なく使う電車に乗るための場所。
でも今の僕にとって、この場所は 奇跡 を期待させる場所です。
いつもの学校の帰り。
ホームへ延びる階段に、期待するのはあなたの姿。
いつかこの階段から奇跡が降りてくるのを期待して、ただただ立っています。
だからいつも、階段から人が降りて来る度に振り返る僕がいる。
そしてその度、溜め息が口からもれる。
毎日毎日溜め息ばかりだけれど、今日もまた、期待の場に立っています。
いくら月日がたとうとも、あなたがここに降りて来る…奇跡がここに降りて来る可能性が有る限り、僕は諦めません。
だってもし、このままあなたに気持ちを伝えずに、卒業したら、後悔の人生になるだろうから。
それだけは、嫌だから。
もし…もしこの場所で見掛けたのなら、僕は言うよ。
あなたへの言葉。
あなたのためだけに、僕が考え抜いた言葉を。
例え周りに見られようとも、この場所が、その言葉と合っていなくとも、大事なのは伝えることなのだからさ。
だから、今日も期待する。
あなたのことを。
だから今日も期待する。
溜め息がなくなることを。
あなたを期待していると、なぜだか胸が苦しいよ。
なんでワクワクじゃないんだろう?
なんでドキドキじゃないんだろう?
今日もまた、奇跡は降りることなく、来たのはあなたとは行き先の違う電車。
これに乗りたくない。
いっそのこと、奇跡と逢えるまでここに立っていたいけど、やっぱりそこまではしない。
もし逢えないのならそれが必然であり、変えることのできない運命なのだから。
でももし、ここで乗らないでいたのならそれもまた必然で。
それもまた変えられぬ運命なのだろう。
やっぱり乗らずに待とうかな?
奇跡を。
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