街が灰色だった。
空が雲しかなかったからだと思った。果てしないモノクロームの景色が、電車を降りてから私が目にした全てだった。
世界が終わる時はきっとこんな色なんだろう
しかも、厄介な事にそれはたぶん私の気のせいではないのだ。
だって私の気分も限りなく重かったから。
気温が高く、湿度も濃い。括っていない髪が欝陶しかった。露出した腕に汗がうっすらと滲み出てくる。
ジーンズが肌に纏わり付く心地がして気持ち悪い。
それもみなフェーン現象のせいだろう。遠い九州の果てから、じわりじわりと、でも確実に、用意周到な泥棒のように関東に迫る巨体の渦。
台風の目という表現が、実によく的を射ていて、気象予報に出て来るそれが本当に何かの怪物の目玉に見えてくる。何と言ったか、名前は忘れてしまったが、「ゲゲゲの鬼太郎」に出て来る西洋妖怪の親玉の姿が脳裏を過ぎる。
そんな事を考えている内、仕事場に到着した。
コメント0
関連する動画0
ご意見・ご感想