初めてあなたに
会った時の事を思い出す
そう それは学校へ向かう
バスの中だった
人が ひしめき合う中で
その人と出会ったの
山の中腹に在る学び舎へは
険しい道のり
急カーブが連続する
山道を行くバス
そして魔の急カーブで
それは起こったの
激しい遠心力に耐えきれず
倒れ込む私
囲んでいた人達も
一緒に倒れ
もはや小柄な私は
サンドイッチ状態
ああ もうこれだから
満員のバスは嫌よ
押しつぶされそうになる その時!
窓に手をついて
必死にかばってくれる人が!
そう その助けてくれた男子が
あの人だった
優しい声で「大丈夫か君」と
囁かれた
あの時あの瞬間
私の身体が震えたの
私が想いを寄せる彼は
野球部の三年生 それも
キャプテンを務める
部の大黒柱なの
それに比べて私は
平凡な帰宅部女子
彼は頭も良く
清廉潔白な人気者男子
なので
そんな彼は女子達にモテモテ
だけど私は負けない
馳せる想いは
誰にも負けないから
この部室裏で告白するのよ
マンガやアニメで
よくある王道パターン
下駄箱に恋文を入れての
お呼び出し
内気で地味な私には
これが最善の策よ
きっと
この呼び出し場所に彼は来る
他の部員は帰った様子
すると その時が来た!
彼が本当に目の前に
高鳴る胸の鼓動
あの一言を「あなたが好き」と
勇気を出して
彼の顔 彼の瞳を
ジッと見つめて私は言えたの
今 私は自室の机で
大粒の涙を流している
結果は見事に玉砕
私の初恋は儚く散った
「これでもか!」と
思うほどに泣き明かしたから
気持ちはスッキリとして
吹っ切れたの
でも彼は
私の事を「嫌いじゃない」と
言ってくれた
それって どおゆう事?
「今は部活に打ち込みたい」と
言っていたから
夏の大会後ならOKなの?
なんだか 私の恋は玉虫色ね
来年の彼の卒業式には
寂しく見送る私なのか
第二ボタンを貰う私がいるのか
この先の未来には
どんな私の姿があるのかな
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