下駄が鳴ります カラコロラン
かんざし鳴りますシャラリララ

桜の花弁サラサラと
流れ落ちます 花時雨

花の波間に長髪(ナガカミ)を サラサラ靡かす彼女(キミ)ひとり
桜の海を抜け出して 息はずませて目指すのは
登りきった坂の上 ひとり佇む大桜
その下明るい陰の中

笑顔で手をふる 白い彼(キミ)

下駄が鳴ります カラコロカン
かんざし鳴ります シャラリララン

花の波間にたゆたうは
白い彼(キミ)と黒い彼女(キミ)の唱い声

一本桜の影の中
桜が青く染まっても ふたりの声は影の中
いつも綺麗に響いてた

だけど流れは激しくて
ふたりを影から追い出した
白い彼(キミ)は赤黒い 大きなうねりの渦の中
黒い彼女(キミ)は坂の上 色の無い空見上げてた

下駄が鳴ります カラコロラン
かんざし鳴ります シャラリララ

だけどふたりは影の外
唄声はもう響かない

下駄が鳴ります カラコロラン
かんざし鳴ります シャラリララン

いつしか流れはおさまって
桜は静かに花時雨

桜の海を抜け出して 駆け上がった坂の上
一本桜の影の中 ひとり佇む黒い彼女(キミ)
白い彼(キミ)は渦のそこ もう帰らぬよと黒の紙

下駄が鳴ります カラコロラン
かんざし鳴ります シャラリララン

花の波間にたゆたうは
黒い彼女(キミ)の涙唄

花の波間を抜け出して ゆっくり上った坂の上
胸に抱えた空の匣
カラカラ 抱え歩く彼女(キミ)

ひとりぼっちはさみしいねと
一本桜の影の中 匣に入れた黒いカミ
細い手のひら黒くして 静かに唄った涙唄

下駄が鳴ります カラコロラン
かんざし鳴ります シャラリララ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

サクラウタ

ポエムです。大学時代に書いたもの。

閲覧数:99

投稿日:2015/02/22 16:29:14

文字数:734文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました