遥か 地平の果てに沈む朱(あか)と
たゆたう 薄雲の翻る藍
遠く そびやかす土塊の狭間
過ぎ行く 風の手が 衣の端(は)を遊ぶ
冴え凪ぐ 砂の海は幾重にも続き
無窮の地に 記す礼賛の文様
踏み締めるは 芥の過去
掬う指先に 満ち足りずに
滑り落ちて 紛れ掻き消える
悉く
深く 晦ます陽の跡を見送り
微睡む 痩せた月 星の間に眠る
あまねく 注ぐひかりの模る影が
隔たりなく 崩れる砂礫を覆う
求め進む 先に掲ぐ
残された導にも 等しく
もたらされた 永き日の呵責
痛ましく
響き渡る 澄んだ鐘の音
打ち鳴らす風の 淡い記憶
砂塵の見る 還るべき場所
朽ちた名を今 讃える
刻まれた詩(うた) 謳い捧ぐ
手のひらで辿る 終(つい)の言葉
撫でる砂に 埋もれる遺構
密やかに
踏み超えるは 去り行く過去
奏でる音色は 繰り返され
伏せる瞼 映り込む景色
懐かしむ
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[されきのきおく(仮)]
1A
はるか ちへいのはてにしずむあかと
たゆたう うすぐものひるがえるあい
1A"
とおく そびやかすつちくれのはざま
すぎゆく かぜのてが きぬのはをあそぶ
1B
さえなぐ すなのうみはいくえにもつづき
むきゅう(むぐう)のちに きすらいさんのもんよう
1S((6/6)12・(8/6)14・(6/8)14・5)
ふみしめるは あくたのかこ
すくうゆびさきに みちたりずに
すべりおちて まぎれかききえる
ことごとく
2A"
ふかく くらますひのあとをみおくり
まどろむ やせたつき ほしのまにねむる
2B
あまねく そそぐひかりのかたどるかげと
へだたりなく くずれるされきをおおう
2S((6/6)12・(10/4)14・(6/8)14・5)
もとめすすむ さきにかかぐ
のこされたしるべにも ひとしく
もたらされた ながきひのかしゃく
いたましく
1C
ひびきわたる すんだかねのね
うちならすかぜの あわいきおく
さじんのみる かえるべきばしょ
くちたなをいま たたえる
3S((7/6)13・(8/6)14・(6/8)14・5)
きざまれたうた うたいささぐ
てのひらでたどる ついのことば
なでるすなに うずもれるいこう
ひそやかに
4S
ふみこえるは さりゆくかこ
かなでるねいろは くりかえされ
ふせるまぶた うつりこむけしき
なつかしむ
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