ひらり、ひらり、想い募る、あの色に――
稜線は白く強く輝いて
人は目覚め 街は動き始める
もう一度 此処に足を踏み入れて
その五感で あの日の心を辿る
離れていたうちに どこか褪せた憧憬も
再び彩り 私を連れてゆく――
優しく舞う 朱の色に
山は染まり 水も清く
温い日向 澄んだ空気 変わりなく
ゆかしき場所 嗚呼忘れない
踏み鳴る落葉 私の景色
始まりへと また繋がってく
朱の色に――
終焉はいつも酷く唐突で
人の別離 待つことさえ許されず
また一夜 頬に涙伝わせて
その不安と あの日の心に向かう
背けていたうちに 遠く失せた慟哭も
再び蠢き 私を責めたてる――
哀しく舞う 赤の色に
胸が痛み 縋る記憶
眠る貴方 きっと永久に 代わりなく
せつなき声 忘れられない
繰り返す過去 私の悪夢
終わりの音 まだ鳴り止まない
赫と共に――
なきむしを月が照らして 寄り添い心撫ぜる
草木 夜風 孤独をすすぐように揺れてた
春のように華やかに居れず
夏のように力強く在れず
冬に芽吹きを望むことさえも おこがましいと思えて
それでも私に焼きつく この色だけは――
儚く舞う 明の祈り
夢は終わり 巡る季節
空の彼方 人も街も 変わりゆく
いとしき日々 もう帰れない
それでもなお 私は歌う
変わらないで、またここにおいで。
優しく舞う 朱の色よ――
ひらり、ひらり、想い繋ぐ――
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