この指先は君を覚えてる
この耳は君を覚えてる
届かないその肌も
聴こえないその声も
私を縛る鎖

暖かい日々を　戻らない日々を
一心に想う君を
冷たい篭の中

震えだす体を　狂いだす頭を
鎮める薬がほしい

開け放った窓を貫く風は
君の残り香も運んでくれない
この部屋に在るのは
惨めな私と
豪奢なベッド
つのる想い
日毎絞まる鎖

この指先は君を覚えてる
強い部分も弱い部分も
届かないその肌は
月の裏側に取り残されたように
冷え切ってしまったの？


依る辺なき妄想　君と出会ったfault
笑いあった構図を
血痕が染めてゆく

動かない体を　閉じてゆく頭を
ほぐす薬は亡い

十全に肥えたエゴを蝕む影は
壊れゆく私に似合ってるんじゃない？
何度でも君の名前を叫ぶよ
かすれるvoice
歪んだsmile
夜毎襲う悼み

この耳は君を覚えてる
甘やかな言葉も美しい歌も
届かないはずの声が
夢の世界に行けば戻ってくるけど
私は



この指先は君を覚えてる
この耳は君を覚えてる
届かないその肌も
届かないその声も


この躰は君を覚えてる
私を惑わす酷い人を
君が触れた部分に絡みついた鎖で
全身の骨が砕けそうよ

この躰は君を覚えてる
空に消えた愛しい人を
私なんて独りだけじゃ
月の裏側まで行けやしないのに
飛べやしないのに