『彩~いろどり~』
淡い朝霞に紛れて
薄く微笑む幽(かそけ)し横顔
胸の内は何人も知らず
薄紫の衣が棚引く
水鏡に浮かぶ緋(あけ)が振袖
六花(ろっか)の金色(こんじき) 散り乱れ
浅き夢見し さえずる小鳥の
由縁知られぬ藍染めし唄
月夜(つくよ) 水面から水底へ
沈み手招く古(いにしえ)の御霊(みたま)
穢れなき純白の小袖は
息吹与えて小夜音(さよね)を奏でる
盃に映る 朱染(しゅぞ)めの翳り
還らぬ某日(いつか)の面影に
鉄の形見さえ露(つゆ)と消えれば
偽話(うそ)と騙(かた)りて忘れるでしょう…
ご意見・ご感想