ある朝 目が覚めると
ニタニタ笑う 義母さま(かあさま)と
視線が合えば 逸らされる
背筋がゾクリ 冷や汗タラリ

あぁ 母さま、恋しけれ

薄暗い森に 父さま(とうさま)と
祭に向かう 足早に
白緑色(びゃくろくいろ)の帯締めて 簪グサり
父さま ニコニコ 義母さま ニタニタ

父さま振り向く ニタニタと
わたしは分からず ニコニコと

父さまチョキンと 腕を切る
赤い鮮血 ぼたぼたと

変わっていく 過ぎていく
母さま、母さま
どうして私を 置いていったの

腕のないわたし 帰る父さま
ヨタヨタ バタリ 歩けない
腹の底から 泣きながら
それでも父さま 振り向かず

あぁ 父さま、恋しけれ

綺麗な着物は 赤黒く




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  • 非営利目的に限ります

手無し娘(仮)

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投稿日:2008/05/05 21:44:38

文字数:317文字

カテゴリ:その他

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