僕の横に立っている君

その周りでは星が輝いていて

「今日は月がないね」

「そうだね」

星だけが暗闇を灯す今日このとき・・・


こんな日、前にもあった気がするよ


「久しぶり。新月の夜・・・」


君とであったこの風景を僕は

 今まで忘れたことはなかったよ

あの時、あの夜こそが僕たちのハジマリだった―――――…




「あれ?また本呼んでんの?しかも同じの」

「あっ、美佳!うん。これ面白いんだよ?」

そういいながら少女が美佳の前でひらひらさせたのは一冊の本

「なになにぃ?“新月の夜の願い事”?何、それ」

高校生が読むようなものじゃないような本の表紙だった
まるで絵本のようで、小学生くらいの子が読みそうな本だった。

「新月の夜は願い事が叶うって書いてあるの!ホラ!」

「もう分かったって!もう私、有紀の話聞いてたら頭くるいそう」

「まぁたそんなこと言って!自分がそうなったときどう答えるんだか」

「ならないからいいんです。さ、早く帰るよ」

「はいはい」

今は図書館にいるものの時間は遅く、誰一人のこってはいなかった。
先生が“早く帰りなさい”と目線を送ってきたので帰ろうかと思った。

「ね、美佳。今日って新月って言ってたよ!?試してみない?」

「・・・いい加減にしてよね(呆)でもどうやんの?」

批判していてもやはり気にならないといえばうそになる。
聞けることは聞いておいたほうが得だ。

「やっぱり気になんじゃん?いいよ。教えてあげる!新月の夜の12時にどこでもいいわ。湖の見える野原に行くの。それでそこで心を込めてお願いするの」

得意げに話す有紀には笑いがこみ上げてきたけど、今はそれどころじゃなかった

「へぇ~。ま、気が向いたらやるよ。」

「・・・・やってよね?」

「はいはい・・・って着いた。じゃね」

「うん。また明日」

そんな話をしていたらいつの間にか家についていた。
私のほうが有紀の家よりも手前にあるから私は先に家に帰るのだ。

「ただいま」

「おかえりなさい。どうだった?」

「うん。普通だよ?もう大丈夫。昔の私じゃないんだから」

そう言って自分の手首に目をやった
何度も続けた傷跡・・・
でも今となってはもう過去なんだと親にも自分にも言ってきた。

「そう。ならよかった。じゃ、お母さん行ってくるわね。また朝方になると思うけど」

「いいよ。いってらっしゃい」

お母さんは今から仕事だ。
お父さんと離婚してから女一人でここまで私を育ててくれた


「よし!不本意だけど、試してみるか」


そういいながら用意しているうちにうとうとしていつの間にか私は眠っていた





―――――パチ


「あれ・・寝てたんだ・・・って!!今何時!!」

バッ

急いで時計を見ると11時48分・・・
予定時刻は12時に野原

ちょっと危険


「いってきます!!」

適当に荷物を持って誰もいないはずの家の戸締りとあいさつをして飛び出した


ハァ ハァ・・・


この辺で・・・いいのかな・・?

湖もあるし、ここは野原だし。

「時間もいい感じ。」

今は11時58分
そのまま目の前にある湖に近づいて手を合わせた


チッ

何を願おうとかそんなことはもう決まっている

チッ

だからお願い、神様・・・



チッ


この願いをどうか・・・・



チッ!


シュウウウウ

時計が12時を指した途端、湖から煙が出て、とても綺麗な青年が出てきた

「えと・・・神様ですか?」

「神ではないけど・・・一つだけ、お前の願いを叶えに来た」


彼の言葉を聞いて私は決心して頼んだ


「私の願いは―――――・・・」





   あの日からもう3年の月日が経った
僕の隣にはきみがいることが多くなっていた
彼女の願いを聞く代わりに最後には僕と契約をしてもらうことになっている
僕の傍にい続けること。
それは今僕ら二人の腕に刻まれたつきのマークが物語っている・・・

あのときの彼女の言葉は始めは驚いたけど、

それだけ優しい人なんだと、僕は思ったよ


―「君の願いは?」

 「私の願いは・・・」




 「私のせいであんなに苦労してるお母さんを少しでも楽にしてあげたいの」


その言葉を聞いて僕は君の元に願いを聞きに来てよかったと持っているよ


「また、これからもよろしく」

「うん。もちろん」

もう彼女には少し楽になった優しい母親と友達がいる。
もう考えないでほしいな

「私はもうしないよ。自殺なんて。」

「え?」

「今、このときを楽しいと思えたの。絶対に最後まで生きてみせる」


そう言って微笑んだ彼女はとても綺麗だった。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【小説】 Primary star 〔for じゅるコラボ〕

閲覧数:119

投稿日:2008/04/13 05:40:32

文字数:1,972文字

カテゴリ:その他

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