逆様に堕ちてゆく様な
偽りの仕合わせの中
僅かな期待に縋った

這わせる舌の根潤して吐き出す
露骨な矛盾さえ見過ごし
『ただ側にいてよ』と呟く

『聞こえない振りしてるの？』
『どうして私じゃないの？』
解ける魔法から目を逸らした

震えた薄刃を押し当て願う
この糸の端まで赤く染めて
二人を繋いで

疼く裂け目から溢れ出した
極彩色が私を彩る姿を包んで

囁やく甘い台詞さえ
私を誘う罠だった事
誤魔化して気付かない振りしてた

『私が思う以上に
私に興味ないのね？』
初めから分かっていた筈なのに

『廻り続ける輪廻の輪から
離れたとして世界は変わるの？』

意味も持たずに絶えず脈打つ
心臓が胸を締め付けるなら
後悔ごと、絶望ごと抉り出して

薄れてゆく意識と傷が
孤独を消すのなら
敢えて耐えて苦しまなくて良い

灼ける痛みが塗り変えてく
途切れ途切れの記憶と
焔に塗れた情慾

路に迷い項垂れては
歩き続け救いを求めて
赤く染まる糸を手繰る貴方

『馬鹿らしくて
情けなくて詰まらない人ね』
と遇らい耳元で告げる
『サヨウナラ』