「祈り桜」

桜舞い散るあの丘で
も一度あなたに逢いたくて


とても暖かな春でした
あなたと出会い惹かれました
だけどあなたは別の人を
好いている事を知りました

それでも私のこの気持ち
捨て去る事など出来もせず
そっと想いが届くように
あなたを慕っておりました

手紙を送ってみようかと
何度も書いては消して捨て
想うほどとても切なくて
机にうつ伏せしとと泣く

桜舞い散るあの丘で
運命を信じ夢を見た
踊りだしそうな花びらを
あなたの隣で感じたい


やがてこの年も春うらら
あなたが不意に倒れました
お見舞いに向かい家の前
あの子の姿が見えました

ある日体調の良い時に
今年の桜はまだかなと
偶然見かけただけなのに
拭っても涙止まらない

桜舞い散るあの丘で
あなたと出会って恋をした
あの日の優しい眼差しで
ずっと見つめていて欲しい


願い届かずあの人は
今夜で最後と告げられて
あの子に誘われ部屋の中
一緒に看取って下さいと


桜舞い散るあの丘で
優しいあなたはもう居ない
泣いて泣いて涙枯れても
あなたは笑顔で旅立った

桜舞い散るあの丘で
も一度あなたに逢いたくて
今度はあの子と三人で
花びらの数でも数えましょう