終末マクガフィン


澄み渡って黒く濡れた夜空
焦げ臭い彼の背に身を任せて
つむじ風、愛を知った。

微笑み、切り取って貼り付けた
淀み切って暗い腹の内を
見えぬふりして愛想を浮かべた。
何か怯えるように

揺れた陽炎にくすむ影は
一夜にすべてを焼き払った。
しがらみを背に、彼に口づけを
灰の舞う偏愛を。

歪んだ依存の種を
彼は黙ってそっと慈しみ手を添えた。
隔絶された二人で
月に照らされる世界を行く。

悪食、度を越した愛の墓
歪み切って尚花のかんばせ
独りよがりを二人で紡ごう。
深く沈む世界で

爆ぜ廻る様に過ぎる毎日を、
惜しみながらも胸にしたためた。
凪いだ廃都市に、咲いた言葉
冷えた空に問う。

焦がれ慕う黒の手に
添えて明かす夜の底。

荒んだ歪の安寧を
されど腐っていた血肉、烏は地に墜つ。
隔絶された二人で
月に照らされる世界を行く。

歪んだ依存の種を
彼は黙ってそっと慈しみ手を添えた。
隔絶された二人で
月に背を向け進む。

枯れた花を愛でるような愚かしさを、
心だと知る。
風のしらべに耳をすまし
空を舞い踊る。