鳥が卵を転がしている
梢のような脚で
ひとつふたつ捨てられてく
何度捨てられても
君は這い上がる

小さな手で蔦を握りしめ
泣きながら大きくなってゆく
這い上がれ這い上がれ
這い上がれ這い上がれ

ゆりかごを編んだ
私に聞かせてほしかった
うたを歌う
カナリアと一緒に泣くよ
あなたを引き止めた蔦は
ゆりかごになりました
なので
もう帰ってこなくていいよ
帰ってこなくていいよ

秋が近づくと寂しいね
冷たい風が吹いてきましたね
お元気ですかとは言うつもりもなく
死んだとしても悲しみませんが
憎まれっ子は世に憚り
まつぼっくりのようにささくれて
だけどいつか花のようになりたい

ゆりかごを編んだ
破けた封筒に切手を貼る
宛先は知らない誰かのもとへ
ポストに落とされた心は
ゆりかごになってゆく
なので
もう帰ってこなくていいよ
帰ってこなくていいよ

秋の夜長、ゆりかごを編む