雨を探す

枯れた世界の真ん中辺りに僕は立っていた
朝焼けなのか夕暮れなのか空は赤い
足下に転がる石の中には宝石があるという
それを探そうともせずただ雨を探している

時々思い出す　忘れてしまったはずの
知らないはずの　存在しないはずの記憶
光と音と熱量が溶けて混ざり合い
今静かに胎動を始める

僕のこの両手は何ができるんだろう
何かを生み出して　誰かを守れるのかな
悲しみを受け止めて生きていけるのかな
僕のこの両目で何を見つけ出せる
隠されてきた世界の真実探して
いくつもの長い道のりを歩き続けて行くよ

鳥が舞っている　風は凪いでいる
太陽は西へ　人々は南へとその身を進め
時間だけが沈殿し　盲目だけが真理を語る
遠い森まで猫を探しに行かなくちゃ　すぐに

いつも同じ様な夢を見る　知らない誰かの
僕は彼だが　彼は僕ではない
廃墟のビルの屋上から　彼は飛び立つ
重力の支配を離れ　意識の外へ

君のいる世界を僕は愛している
茜色の空を見上げてそう思った
金色の星を見つけてそう思った
僕のこの歌は君に届くのかな
風になって　雨になって　光になって
優しさに包み込まれるように届けばいいな