ふいにかすめた土のにおい
今日は雨予報らしい
分厚い雲にため息をついて
小さくいってきますと残す

はしゃぐ子どもたちの声
眩しくてつい目を細めた
色とりどりの傘が走って
跳ねた水滴が僕を呼ぶ

いつからだろう
ありがとうも
ごめんなさいの言葉も
素直に言えなくなったのは
どこに置いてきてしまったの

ぽつり弾けた音に願う
やっぱりこのまま降り続けて
この雨にまぎれとけてしまえたら
不思議と晴れる気がするから

今はただ、ただゆるして
自由になれない大人（僕）だけど
水たまりに映る君は
濡れてもいいよと微笑んだ


あの時感じた温もりは
ひとつも忘れたくなかったのに
いつの間にか手のひらから零れ落ちた
早く大人になりたいなんて
あまりにも子どもだった
しゃがんで泣きじゃくる君に
傘を差すことしかできない

ふいにかすめた土のにおい
今日もまた降るらしい
新品の傘に心躍らせ
小さくいってきますと残す

はしゃぐ子どもたちの声
眩しくてつい目を細めた
色とりどりの傘が走って
跳ねた水滴が君を呼ぶ

ぽつり弾けた音に想う
やっぱり雨の日は好きかも
綺麗じゃなくても思うままに
そう教えてくれた気がする

今はただ、ただゆるして
自由になれない大人（僕）だけど
水たまりに映る君は
濡れてもいいよと花笑んだ