白猫さんを助けた
ご褒美がやってきたのかな
一日にひとつなんでも
願いが叶うようになったよ
妹を笑顔にして
いじめっ子を悲しませて
生きづらい世界がほら
祈るだけで遊園地になる

放課後塾へと向かう
あと五分じゃ間に合わない
ああ、時間が止まればいいのにな
心からの声が世界変えた

秒針が止まる
メデューサと目が合ったみたいに
閉じ込められちゃった
一日ひとつの魔法に
元に戻さなきゃ
でも明日が来ない叶わない
そこに手差し伸べる
のは白い帽子の少女

連れてこられたところは
なんでも願いが叶う塔
貰った小さな部屋では
意地悪な子は皆パペット
ああ、爽やかな気分
まるで灰を被ってた姫
喜悦の毎日の中で
ふと誰かの顔思い出した

部屋を飛び出す
陽よりも速いメロスみたいに
私を待っている
たったひとりの妹が
もう塔を出なきゃ
でも白い帽子が許さない
「守ってあげるのに
どうして拒むの」

「痛ましい教室は
あなたの身も心も
食べ尽くしてしまうわ
分かっているでしょう？
優しいあなたには
朽ちてほしくないの
だからお願いだよ
行かないで」

早足を止める
メデューサと目合わせたみたいに
伝えなきゃ駄目だ
その涙止める為に口開く
これからは逃げる
自分を蝕む者たちから
だから大丈夫
少女は安堵し、塔は崩れた