川沿いを歩く

メロン

水の中に映った
ねずみ色の空に
名前も知らない
花びらが浮かんで
流されていく

映画みたいに
切り取られてしまった
きっとどうでも良くないことも

街は変わって
雲は流れて
まだ少し寒い川沿いを歩く
誰か思って
誰か忘れて
湿った靴音のリズムにあわせながら

懐かしい匂いに
誘われてしまった
寂しいだけで
一つも動けないのに

風が止まって
時が止まって
いつかの歌声が響いてきて　
誰かと出会って
誰かと別れて
数えきれない人とすれ違っていたんだ

また朝目が覚めて
テレビを点けながら
シャツの袖を通し
髪をとかして

街は変わって
雲は流れて
まだ少し寒い川沿いを歩く
誰か思って
誰か忘れて
湿った靴音のリズムにあわせながら