S0
朽ち果てた　世界は劇場
誰もが骸
軛を締められて
神の炎の中で　地に墜ちる
腐食の薔薇　散る心
もう　止まらない

A1
鈍色のヴェールが覆う空
どんな悪夢を見ているの
心臓を失くした葬列は
葡萄酒じみた雨の中

B1
咲き綻ぶ光さえ
欲の檻の中へと
翼折られ　穢されれば
彷徨う獣

S1
動かない　無垢な體の
蒼白き頬
棺へ閉じ込めて
銀の鎖を架けた　手を離す
沈みなさい　虚無の中
さあ　終わらせて


A2
死に絶えた星屑掴もうと
道化役者は手を伸ばす
奪い合い群がり辱め
天は呼吸を止めてゆく

B2
封じられて溺れてく
遠い楽園の記憶
この大地に天使はもう
一人もいない

S2
血塗られた世界は劇場
破滅のアリア
楔を打つ調べ
迫る黒い足音　微笑んだ
愛を騙る罰の声
もう　楽にして

S3
生まれる事は
極刑の罪

S4
動かない　無垢な體の
蒼白き頬
赦しを希う
痛い口づけをして　貪って
貫かれて放たれる
さあ　終わらせて



【譜割り・()は一音分】

S0
くちはてた　せかいはげき(じょう)
だれもがむくろ
くびきをしめられて
かみのほのおのなかで　ちにおちる
ふ(しょ)くのばら　ちるこころ
もう　とまらない

A1
にびいろの(ヴェ)ールがおおうそら
(どん)なあくむをみているの
しんぞうをなくしたそうれつは
ぶ(どう)(しゅ)じみたあめのなか

B1
さきほころぶひかりさえ
よくのおりのなかへと
つばさおられ　けがされれば
さまようけもの

S1
うごかない　むくなからだの
あおじろきほほ
ひつぎへとじこめて
ぎんのくさりをかけた　てをはなす
しずみなさい　(きょ)むのなか
(さあ)　おわらせて


A2
しにたえたほしくずつかもうと
(どう)けやく(しゃ)はてをのばす
うばいあいむらがりはずかしめ
(てん)はこ(きゅ)うをとめてゆく

B2
ふうじられておぼれてく
とおいらく(えん)のきおく
このだいちにてんしはもう
ひとりもいない

S2
ちぬられたせかいはげき(じょう)
はめつのアリア
くさびをうつしらべ
せまるくろいあしおと　ほほえんだ
あいをかたるばつのこえ
(もう)　らくにして

S3
うまれることは
(きょ)っけいのつみ

S4
うごかない　むくなからだの
あおじろきほほ
ゆるしをこいねがう
いたいくちづけをして　むさぼって
つらぬかれてはなたれる
(さあ)　おわらせて