秋空に木霊する / offvocal

▼ニコ動
https://www.nicovideo.jp/watch/sm37608350

デパス3錠の切れ際みたいに今年も夏が終わる
抱き合ったつがいの蜻蛉が死に場所を探してる
意味のない空虚感に浸って無いはずの記憶を追う
干した布団に顔をうずめてダニの亡骸を吸い込む

逃げたいけど訳は無い　しょせん何の不満もない
生きずらさの特権意識を握りしめて離さない
恵まれつつ不遇を装う贅沢な趣味に興じで今夜も
悲しみの仮面の下で子羊の肉を屠る

人の顔を覗く
アパシー。寂しい夜に独り願ってるんだ。
叫んでるんだ、存在理由を僕にくれよって。
星は今夜も寡黙だ。言葉を吐けば吐くほど虚しくなるんだ。

「友」も「空」も「愛」も「神」も「今」も「雲」も「海」も「朝」も「瑠璃」も「声」も「春」も「傘」も「意志」も「無垢」も「真実」も
始末書を埋める言い訳みたいだ。

「夏」も「雪」も「時」も「凪」も「岸」も「土」も「波」も「髪」も「街」も「歌」も「川」も「月」も「色」も「音」も「夢」も「明日」も
秋空に虚しく木霊するだけだ。嗚呼。

詩人の遺書の震える字みたいに今日も陽が沈む
自殺者は年に二万人　残り一億人が目を伏せる
耳にはイヤホン、千切れる雲、凡庸なラブソング
お手頃な悲劇に涙しながら知らぬ間に道の秋桜を踏み潰す。

君の傷を僕の糧に、僕の生きる意味に。
人の不幸に寄生してるんだ。恩着せがましい正義のヒーローだ。
本当の苦痛を前に逃げ出した。罪があるならまだマシだ。
罪もない、罰もない、あるのは僕の誰も救えない張りぼての言葉だけだ。

「嘘」も「影」も「富」も「死後」も「過去」も「雨」も「木々」も「夜」も「碧」も「頬」も「窓」も「日々」も「悪」も「虚無」も「音楽」も
空疎さを誤魔化す苦し紛れだ。

「冬」も「花」も「年」も「橋」も「汐」も「砂」も「裏」も「親」も「義理」も「家」も「知恵」も「欲」も「墓」も「闇」も「昼」も「旅」も　
秋空に虚しく木霊するだけだ。嗚呼。