女「仕事終わりのデート何て久しぶりだねっ」
男「今日は仕事早く終わったからな」
女「お腹ぺこぺこだよ」
男「何か食べたいものあるか?」
女「今日はパスタな気分かな」
男「じゃあ前に食べたとこ行くか」
女「あそこのパスタ好きっ」
男「……あ」
女「どうしたの?」
男「そういえば今日先輩もパスタ食べに行こうとか言ってたような気がしたな」
女「先輩って、前に告白してきた人?」
男「ああ」
女「まさか遭遇したり……」
男「そんな漫画みたいなこと起きるわけないだろ」
女「だよねっ」
*
先輩「あら男君」
男「まさかホントにあるとはな」
先輩「何の話?」
男「いえ、こっちの話です」
女「……あの、初めまして。男がいつもお世話になってます」
先輩「……この子が男君の彼女さん?」
男「そうです」
先輩「想像してたよりずっと大人っぽい彼女さんね」
女「そ、そんなことないですっ」
男「先輩、ホントですよ。こいつ人の前では猫かぶりますから」
女「よ、余計なこと言わなくていいのっ」
先輩「あはは、じゃあ男君、また明日ね」
男「はい」
店員「あの、お客様は三名様でよろしいでしょうか?」
女「あ、こちらの方とは別々に座るんですけど……」
店員「ただいま店内混雑してまして、お二人様すぐにご案内することが出来ないんですよ」
男「女、待てるか?」
女「大丈夫だよ」
先輩「何か悪いわね……」
店員「そちらのお客様と相席という形ならすぐにご案内出来るんですけれど……」
先輩「それも嫌よね?」
男「……女は?」
女「先輩さんの迷惑になっちゃいませんか?」
先輩「私は全然構わないわよ」
女「もしや宣戦布告……」
先輩「え?」
女「あ、いや、何でもないです」
先輩「じゃあご一緒しましょうか」
男「先輩ありがとうございます」
店員「それでは三名様。そちらのテーブル席にご案内致します」
*
「「「頂きます」」」
女「やっぱり美味しいっ」
先輩「よく二人で来るの?」
女「パスタな気分の時はいつもここですね」
先輩「へぇ……」
女「せ、先輩さんも男君と良く来るんですかっ!?」
男「おいお前は何てこと聞いてんだ」
女「男君は黙ってて!!」
先輩「……1、2回くらいかしらね」
女「やっぱりあるんだ……」
男「お前だって付き合いで食事したり飲んだりすることくらいあるだろーが」
女「それとこれとは別だよ!! キャベツとレタスくらいの差はあるよ!!」
先輩「……ぷっ」
男「ほら先輩に笑われてるぞ」
女「あ、すみません……。見苦しいところを見せてしまって……」
先輩「別にいいのよ。ただ……」
女「ただ……?」
先輩「男君も嫉妬とかしたりするんだなぁって」
男「……ッ!?」
女「ないですよー。こんな無愛想を絵に描いたような人が」
男「おい」
先輩「そうかしらね?」
女「この前だってせっかく新しい服着て行ったのに、何の関心もなしですよ」
先輩「……それは」
男「先輩!!」
先輩「……はいはい」
女「ふ……二人だけの秘密!?」
先輩「秘密って言ったら、秘密ね」
女「せ、先輩さんは彼女持ちの男にも手を出しちゃうんですかっ!?」
男「おい、飛躍しすぎだ」
女「あの時甘く囁いてくれた言葉は嘘だったの……?」
男「お前は何を言い出すんだ」
先輩「その話、詳しく聞かせてもらえない?」
女「いいですとも!! あれは月が綺麗な夜のこと。ベッドの上の男君はおもむろに私を押し」
男「お、女、黙れっ!!」
先輩「ふーん……普段冷静な男君がねぇ……」
女「は……まさか。私はまんまと先輩さんに情報を渡してしまったの!?」
先輩「話してくれてありがとう」
女「私は手の平の上で躍らされていたのか……」
男「お前が勝手に踊り出したんだよ」
女「これが年上の余裕って奴だね」
先輩「ふふ……二人とも今日はどうもありがとう。ここは私が払っておくわね」
男「俺が払いますよ」
先輩「いーの」
男「ありがとうございます」
女「ご馳走様でした」
先輩「女ちゃん、今度私とお買い物にでも行きましょ?」
女「と、東京湾に沈める気ですか!?」
男「おい」
先輩「ふふ、じゃあ待たね」
男「……ふぅ」
女「これから二人だけの甘い時間だね」
男「今日は何か疲れたから帰る」
女「えぇ!?」
*
後日。
男「先輩、この前は女がご迷惑をおかけしました」
先輩「そんなの全然いいわよ。ただ……」
男「ただ……?」
先輩「男君は本当に女ちゃんのことが好きなのね」
男「変なこと言わないで下さい」
先輩「あら、そうかしら?」
男「そうまで言うなら根拠をあげてください」
先輩「だって男君、女ちゃんの前だとあんな優しそうな顔するじゃない」
男「……そうですかね」
先輩「女ちゃんを大切にね」
男「はぁ……」
先輩「という訳で今日も残業ね」
男「……はい」
Fin
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