妬け付いた喉を潤すのは、海へ、海へ還ろうと。
夜が明けて陽が沈んだ二度目の孤独は、深淵よりも底に。
大地の鼓動を聞く。打ち寄せる波の隙間から君を拾い集める。
愛してる。そう、愛している。
世界が僕を恨んだように、僕も世界を全てを恨んだ。
君はこの世界を愛した。ただそれだけで僕は満たされていた。
さよなら、もう二度と逢えないよ。
君の繋ぐ左手が辛うじて僕に、この世界を愛させようと。
大きなお世話だ、なんて今更。何で今更。
二人だったから、今を孤独と呼ぶんだね。
だって僕はあの頃、ちっとも悲しくなんか、ちっとも寂しくなんかなかったのに。
細波を歩く。一人きり。
ねえ世界よ、どうして愛してくれなかったのですか。
握りしめた指先から砂は零れ落ちて、夜空に浮かぶ星座になった。
羊よ羊、海に還れ。月が満ちるまでさよなら。
僕はそのゆりかごで少し休ませてもらう―――おやすみ、良い夢を。
君のゆりかごへ。
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