ブラックボックス

NAGATOSHIN

出口のない
暗い箱の中で
助けが来るのを待ってた
ここでは嫌な事はない
だけど他には何もない

気づいたらこの中で
傷つかぬ様に篭もっていたんだ

冷たい世界から
追われた被害者の様な顔して

誰か助けて
その声が
黒い箱の中に散らばっていく

誰にも届かない声が
少しずつ箱の中を
狭くしてゆく
逃げ場所はない

あれからどれくらい経ったろう
足の踏み場さえ無くなった

昔の友たちは今どこを旅しているんだろう
ふと思う

冷たい風の中
鋭い棘の中
歩いているんだろう

もうここを出たい
そう願い
必死で出口を探したが
元からある筈の無い
光を探し出す事など出来はしない

少しまた少し
叫びが埋め尽くして
ミシリまたミシリと
箱が悲鳴を上げてひび割れてく

あぁ空が見えた
あんなに嫌いだった青い青い空が
誰が助けた全ては
自分が作り上げたものだった

風に吹かれてもいい
棘に刺さってもいい

あの中の言葉を忘れないから