薄氷/ポエム系
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詩:鶏さん http://piapro.jp/rooster
朗読:雪埜さん
見知らぬ誰かの家の塀に指先を擦りつけながら歩いている
ギザギザとした埃まみれの感触が掌全てを覆わないように
街灯の消えた町の片隅であの白い月だけが進むべき道を照らしていた
見慣れていたはずの光景は何故だか今日は張り子のような顔を覗かせていて
砂利道に残した二つの足跡だけが ありふれた僕達の輪郭を刻んでいた
朝が来てとても楽しい夢から目覚めてしまう事は
本当はそれほど難しいことではないと知っているから
僕たちはせめてそれが一つも零れてしまわないようにと必死に足掻き続けている
鍵を回した左手を乾いた唇の上に押し当てながら吐息の中に掠れた言葉を吐き出していく
ありふれた魔法はありふれた終わりの中でありふれたささくれに姿を変えていくのだろう
履きなれた靴の裏側に穏やかな秋の木枯らしと柔らかな土の感触を踏みしめながら
やがて僕達は少しだけ遠回りをして町の灯りの中に帰っていく
積み木のように縫い合わせた心の中に置き去りの言葉を一つだけ拾い上げたなら
やがて全てが白い雪に覆われていったとしても芽吹く春の記憶を抱いて おやすみなさい
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ツイッターで言ってた企画です
協力してくれた鶏さん、お声を掛けて下さった方々、ありがとうございました!
とっても楽しかったのでまたやりたいと思います
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