Avis Toria 00.アヴィス・ヴァイオレット-AVIS VIOLET Th rolviol-
彼らには彼らとしての
それでももう一度
回ってめぐりたどりつく
運命
七 偽ものと似せごと
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あったのは「ジョーカー」という手作りの手帳だった。裏には綺麗な筆記体で『フィロ』と書かれている。アヴィスは一瞬、ヴィルに言われた言いつけがよぎったが、心の疼きが止められず悶々と悩んで手を引っこめようとした。が、手が手帳に当たって落ちてしまった。
パラパラとページがめくられ、アヴィスはあっと息をのんだ。どうやら以前スペードの国にジョーカーが居た時に観察したのか、事細やかに書かれていた。何が出来るのか、出来ないのか、どうしていたのかが書きこまれていた。
アヴィスは目についたページを読み上げる。
「3042号1の春一日、ジョーカーは今日も王にこき使われる。彼がいるおかげで、山札がどんどん増える。不安だ。ジョーカーは大丈夫だろうか」
見た事もない“フィロ”という男性に思いをはせながら、アヴィスはベッドに腰掛けて読みふけった。ジョーカーも内容の密度に驚いた。
「この人、ずっと観察し続けたのね。ほら、付箋まで貼ってある」
「アヴィス、まさか私を観察したいなどと言わないな?」
「言わないわ。多分」
睨んできたジョーカーをおいておいて、アヴィスはまた文章を読んだ。
「3042号2の春二十日、ジョーカーは我らの国宝の一匹『鳥調べ』と戯れていた。ぴーぴーと鳴いている『鳥調べ』がなんと喋ったのだ。「ジョーカー」と。とても微笑ましい。なんて可愛いんだ。ボロック爺さんの飼っている七面鳥の尾羽のように可愛い。しかし――……彼はやっぱり鳥類の仲間だと思うが、この伝説と謳われる鳥が戯れる所察するに、僕はやっぱりあの説が一番有力だと思う。ディスペプテック著の「ジョーカーと情動なる伝説」に記されていた「ゲームの――」だ。もしそうなら大変だ。しかし、それはおとぎ話。ジョーカーはジョーカー。使われる最強のカードだ。絶対にそれにはならない――どうしてだろう……彼はどうして使われ続けなきゃいけないんだろう。誰か解放してもいいんじゃないだろうか。悲しい世界だ」
アヴィスは意味が分からなかった。伝説? 一体ゲームの何かしら?
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アヴィス・ヴァイオレット~ジョーカーと断頭台~
第七章 偽ものと似せごと
著:黒沢ノジ(村瀬太一)
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