女「男君、私決めたよ!!」

男「そうか、頑張れよ」

女「まだ何も言ってないよ。あのね、私とメジャーデビューしよう!!」

男「断る」

女「ええ!? はやいよっ」

男「意味が分からん」

女「何でよ、いいと思うのに」

男「そもそも何のメジャーデビューだよ」

女「バンドだよバンドっ!!」

男「……バンド?」

女「私がピアノ、男君がギターボーカル!! 絶対売れるよ!! さっきお義母さんがくれた梨より熟れるよ!!」

男「突っ込む所はたくさんあるが、まずは一つ聞かせてくれ」

女「勿論、収入は半分半分だよ!!」

男「なぜメジャーデビューしようと思ったんだ」

女「男君、男君はサラリーマンとか公務員、そんな普通の仕事で満足できるのですか!!」

男「就職難だし、就ければいいだろ」

女「違うんだよ男君」

男「正論だろ」

女「人生は一度きり、それなら私は夢のために生きたい!!」

男「精々頑張れ」

女「その為には男君の声が必要なの」

男「何で俺なんだよ」

女「男君、カラオケ上手いじゃん」

男「お前プロをなめてるだろ」

女「男君はダイヤの原石なんだよ!! 磨けば光る!! このまま錆びていっていいの……?」

男「構わない」

女「それでも男の子なの? 生まれたからにはてっぺん取りに行こうよ!!」

男「いつの時代の人間だ。そもそもお前ピアノ弾けたか?」

女「い、今から練習するよっ!!」

男「じゃあ弾けるようになってから出直して来てくれ」

女「やだやだ!!」

男「ったく、出かけるぞ」

女「ふえっ?」

男「カラオケ行きたいなら初めから素直にそう言えよ」

女「……// ばれてましたか」

男「どうせ俺をのせて『男君、じゃあ早速ボーカルの練習にカラオケ行こう!!』とか考えてたんだろ」

女「男君、私のことなら何でも知ってるんだね//」

女「当たり前だろ。大好きなお前のことなんだから」

女「……恥ずかしいよ//」

男「おい、行かなくていいのか」

女「待って、いくよっ!!」

男「今日寒いからお前上に何か羽織ってから来いよ」

女「優しい// じゃあ行ってくるね!!」

バタン。

男「全く。初めからそう言えよ」

バタン。

女「そう言えば男君」

男「早いな」

女「もし男君がメジャーデビューしたら絶対私がピアノ弾くからね。これはホント!!」

男「絶対しねーけど訳だけ聞こうか」

女「だって1番近いところで男君の歌聞けるもん。私だけの特等席だよ。誰にも譲ってあげないんだからっ」

男「ちゃんとピアノ弾けよ」

女「任せてっ」

男「女、俺も別に夢がないわけじゃない」

女「?」

男「サラリーマンとか決していい収入とは言えない。けど、大切な人と幸せな家庭を築くなら、それでもいいんじゃないか?」

女「うんうん」

男「朝6時に出かけて19時に帰ってくる。まさしく理想じゃないか?」

女「家族と仲良くご飯だね」

男「そういうのが1番だろ」

女「もしかしてプロポーズ//」

男「そう聞こえるなら耳鼻科行け」

女「ふふ//」

男「ほら、行くぞ」

女「うん!!」

男「おい、あんまくっつくな」

女「ごめんなさい……」

男「……離れろとは言ってないだろ」

女「……!! えへへ//」

母「あら出かけるの?」

男「晩飯までには戻るよ」

母「女ちゃん、晩御飯食べてく?」

女「お邪魔じゃないのなら是非とも!!」

母「分かったわ。じゃあ二人とも気をつけてね」

男・女「行ってきます」



女「やっぱ男君歌うまい!!」

男「別に普通だろーが」

女「……夢見ちゃおうかな」

男「デビューしないから安心しろ」

女「そっちじゃないよ。私の夢」

男「なんだっけか」

女「お嫁さん//」

男「……ま、夢は見るもんじゃない、叶えるものだろ?」

女「そっか……私がんばる!!」

男「……期待しないで待っててやるよ」

女「それってプロポーズ//」

男「あれ、無限ループってこわくね?」

Fin

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【SS】 5 メジャーデビュー

ツンデレ男とひたむき女のほんわかストーリー第5話。
今回、女が語り出したのは夢の話!?

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投稿日:2010/10/07 17:08:49

文字数:1,699文字

カテゴリ:その他

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