
随分遠くまで歩いたね、紺碧が紅掛かるまで。
ううん、疲れてない、と君は振り向かずに石を蹴った。
ちょっと休憩しよう、と海の聴こえるここで腰掛けた。
どこまで話したっけ、と問うと君は、やっぱり泣いていた。
夏の海岸線では聴こえない。
颯と潮風が凪いだ。君も落ち着いたみたいだ。
率と視線を見上げた。視界の限り#2792c3と#f19072になった。
この海の先は見えますか、海の先の音聞こえますか。
溌と気付いたあの日から、その音は僕を止めないだろうなあ。
現実と想像の境界上、なぞって波間が遠のいた。
限りを知ったのに、一層現実が美しいから。
また桜が咲く季節に、僕はここを去ろうと思うんだ。
だから、今は。
止めないで、阻まないで、
って君には言わないから。
触れさせて、収めさせて。
向こう側に続く未知を。
夢だって、空想だなんて、
君はきっと謂わないんだな。
でも、波に霞んだ前の景色をこの胸に射止めたいだけなんだ。
向こうに行ってみたい、と呟くといつも揶揄われた。
埋もれるぞ、危ないぞと大人はイツモヤサシクミチヲシイテクレタ。
個性と個性が犇めき合う、あの街で息を潜める。
そういう現実がいいんだ、この町で個性を潜めるより。
そろそろ歩こうか、と僕は立ち、砂を払った。
「君と歩いた町の空には。思い出が溶け込んでるんだ。だから、私は、」
震える君の声は止まった。
波の音も、どっかの風鈴の音も、
きみがなみだこぼすしゅんかんからきこえなくなった。
「わたしもつれてってよ。」といってくれればいいのに。
止めないで、阻まないで、
いつか証明してみせるよ。
触れさせて、収めさせて。
海岸線に落ちていない未知を。
夏にはさ、此処に戻るから、
一緒にこの渚を歩こうよ。
紅から群青に変わるまで、
溶解た星空を一緒に見るから。
海岸線では聴こえない現実を探しに、
卒業したら旅立つよ。
夏の海岸線では聴こえない。
00:00 / 04:38
夏の海岸線では聴こえない。
ーー触れさせて、収めさせて。向こう側に続く未知をーー
夏が来たら海を見に行きたいな。
海は遠くの音を潮騒に載せて伝えてくれる。
されど潮騒のサンプリングレートが低いのか、
海岸線では、彼方でなんて言ってるのか聴こえない。
でもきっと、レンズに収めたい現実を探しに
海の先に向かった後では、
此方の音が恋しくなって、
また夏が来たら渚を歩いてるんだろう。
そういう感じの少し切ない夏の歌です。
創作日 2020年4月27日
クリップボードにコピーしました


ご意見・ご感想