Phalaenopsis

挨拶すらもできないで現れて扉押さえ　憑依したての世界に「何の用があるのか？」
不完全な記憶に異常が診られたのか　それとも酩酊か「リミッターは外れたか？」
片手に持つ水筒に映るのは完全に　「何処かで入れ違った？」ボク自身の影に見えて
外に見える景色にちゃんと見惚れていたのに　「気が付いてしまったんだ。」

また蒔いたカーネリアンの種を踏んで　「全て秘密にしようぜ。」
淡い色の列車を用意して　「此処から出たい？」
馬鹿みたく残響を模倣した　ドッペルゲンガー世界
気が付けば壊れたように

「アリスの心臓を返せよ。」嗄れた声で歌う　「煤けた景色閉じ込めて。」とまた願ってる
奇跡を疑えば感覚が邪魔をして　知らない内にノートに残してる
「もう一度ボクに会いたいな。」そう言って涙流す　アンソロジーを餞にして目を瞑る
「やっと会えたんだよ？」埃を纏った記憶　其処に残るのはノスタルジアだけだ

明日には忘れてしまう「だから暫く居させて。」　輝く星を眺めて「モルグの鍵は何処だ？」
ボクはそれを見詰めて塔の涙隠して　ボクを騙したんだ「パールは何処にも無いぜ？」
倒れ落ちる水筒ががなる火の粉を吐いて　「記憶が濁っているな。」その滞り飽和して
自棄に静かな景色を真似て黙り込む世界　「気が付くわけがないだろう？」

次は飽いてしまった水面を眺めて　「此処は何処だ？」記憶に無い
木々の記憶は薄く澱んで　「でも戻りたい？」
馬鹿みたく残光を模倣したい　燕飛び交う世界
気付かなくても壊れてる

「アリスの心臓を探せよ。」剥がれた爪を噛んで　「此処は煌びやかじゃないぜ。」と踵踏んでる
短く舌を打てば感性すら麻痺して　怖いほど世界を疑ってみる
「早くボクに会わせてくれよ。」そう言って怒り漏らす　アンティークになってしまった瞑目の様
「まだ会えないのか？」埃を払いきれなくて　まだ残ってるのはノスタルジアだけで

「アリスの心臓を返せよ。」嗄れた声で歌う　「煤けた景色閉じ込めて。」とまた願ってる
奇跡を疑えば感覚が邪魔をして　知らない内にノートに残してる

「さぁ蹂躙しろ。」と反旗飜して　「全て明かしてみようぜ。」
鈍色のレールをばら撒いて　「まだ出たくない。」
馬鹿みたく残像と模倣して　何もかも同じ世界
「既にもう壊れていたぜ？」

「アリスの心臓を奪えよ。」燃ゆるような声で叫ぶ　「爛れた景色取り戻せ。」と焦燥感じてる
大きく旗を振れば痛みが邪魔をして　解らないけどノートを読み返す
もう一度水筒返して記憶に火花が走る　プラットホームの鍵を挿して「あぁ、ただいま。」
「やっと会えたんだね！」埃を剥がした記憶　此処に残るのはノスタルジアだけなのかもしれない