まあるい月を掴もうと
雲が掌みたいに広がった
それを見ていた星達が
『無理さ無理さ』と瞬いた
やがて月の姿を隠してしまうと
雲は自慢げに『どうだい』と語りかけたが
星達は笑いながら瞬いた
『ご覧やっぱり無理なのさ』
指の間から零れ
地上に射す幾筋もの輝き
悠久の光
どんなに大きな雲さえも
掴み切れる訳無いさ
『ここ』を覆い隠しても
『何処か』に光は降り注ぐ
まあるい月を掴もうと
雲が掌みたいに広がった
『今欲しいのはそのものじゃない』
『手に出来無いからこそそうするのさ』
それを見ていた星達が
今もその行く末を見守っている
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