藍色の屋敷に住む
赤いドレスを身に纏った
マダム・パステルカラー
人は彼女を奇人と呼んだ
彼女は描く
愛しい、美しい思い人を
彼女は描く
姿の見えない、謎の人物を
年中雨が降っているかのように
屋敷から出ることのない
マダム・パステルカラー
奇人と呼ばれた彼女の言い分は
「美しいものしか見たくないの」
人は彼女を奇人と呼んだ
彼女は描く
愛しい、美しい思い人を
彼女は描く
手鏡を持ちながら
彼女が妊娠した
しかし流産だった
彼女は泣いた
泣いて目が腫れた
化粧が取れた
頬の赤みが取れなくなった
彼女は二度と絵を描くことはなかった
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