秋、踏切の前にて。
三日月で夜は映えた
変わらず電車は揺れる
今日も代わり映えない
世界の片隅で
さよなら告げたんだ
終点は遠く
天国行きの忘れかけた
人生に問いかける
僕は何を求めて幸せ殺す
春夏秋冬 息継ぎもせずに
「支配」に護られ籠の中
まるで自由を求めて
飛び立って泣いた
そして死ぬ金糸雀
警告音と共に遮断機落ちる
ここからは僕も誰も
入っちゃいけないんだ
当たり前のことなのに
そっと憂いを抱いて慰め合った
秋、踏切の前にて。
立ちすくむ僕の心
惜しみなく命は燃える
今日も代わり映えない
世界の片隅で
此処にさよなら告げたんだ
愁然な日々は
有限付きと
一度きりの命題を振り翳す
人の命 芽を摘み 明日に腐らせる
警鐘の空蝉 幸福の刹那
狐の面剥ぎ 獄の中
まるで「不幸を象徴した死」を欺いた
息絶える秋空
秋、踏切の前にて。
破ろうとしたオレンジ色の空
紅く染まった千本傷を負う少女が呟く
「悲しみは時雨のように」
抽象的命論 心が心抉る諸刃を
綺麗な街の夜景に融け込む惨さを
詰め込んだ世界の裏側
縲絏な感傷愁える
平行線を辿り 遮断機落ちる
此処からは僕も君も
入っちゃいけないんだ
「ごめんね」と耳澄ます心音
警告音とともに遮断機落ちる
始まりはいつも不意に
天秤のトランジスタ
終わりへ駆け往くけれど
ほんの希望と
幸福な夢見て泣いたよ
秋、踏切の前にて。
忌まわしき過去を攫い
時雨は隔絶を誘う
「碌に代わり映えない世界」の肩書きに
此処でさよなら告げたんだ
さよなら告げたんだ
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