君に届けたいものは
優しい鍵のない窓
流れてくる朝露の香り
差し込むのは午後の木漏れ日
隙間からは舞い踊るそよ風
瞼を焼いて落ちてゆく残光
白の部屋が彩なされる
緑の記憶は一面に染め上げ
朱い侵略が緩やかに滲んでいく
藍の静止で身動ぎもせぬまま
時計の秒針は穏やかに音もなく円を描く
出口の無い盤上が永遠を刻む
しかしいつしか
空が見渡す限り銀の裏地に変われば
陽光は今際の際の瞬きとなり
雲は流れて振り返らず
風がカーテン絡げて透明の檻を叩く
ざわめく草花はなぶられるがまま
泣き喚く雨に打ちひしがれ
遠雷に裂かれた大気は悲鳴を上げる
それら全てを余所事のように無機質な鐘の音が響いた
歯車を巻き返せど時は還らじ砂は戻らじ
遠きにそびえる峰を舞台に
月明かりの下、星は夜を駆け
土の香立ち込める闇に満ち
冷えた石の上を名残の涙が流れてゆく
僕に遺されたのは
鍵のかけられた黒い鳥籠
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