「よくお聴き、これは滑稽な話さ」
乾びた本をめくる妄想家
カラカラ　パラパラ　めくる記憶
「ようこそ、奇妙なお話へ」

世間知らずのヴーロート すがる腕すら霧の中
求めて彷徨い、笑うがいい　あがく姿もまた一興！
後の祭りの愉快な男　ぬかる片足、修羅の道
「どうか、どうかあの面影を」　届かぬ囁き　土の中

「さあ、語ろう、語ろう　滑稽なお話！」
アリアンヌの悲鳴を合図に
カンカン シャンシャン 音がする
気まぐれな幽霊列車　それもまたご愛嬌

友情　愛情　今以上　信じた馬鹿のなれの果て
お涙頂戴　拍手の中　喝采浴びてこその悲劇
愉しい話　拙劣なステップ 　リズムを刻む１.２.４.４！
「最初から全部計算済み！」　裏切りの美学　それも活劇

「さあ、語ろう、語ろう　滑稽な奇談！」
緋色の銃声を合図に
カンカン シャンシャン 音はする
駆け込み乗車にご用心　幽霊列車は何処へ行く

奇術師のように真実は隠し 言えないことばかり嫌になるね
悔やんで、泣いて、苛んで それでも想う
「私はお前を……」

「無駄さ、全部奇談なのさ」
愛したはずのもの　目にしたもの　手放したもの
カラカラ　パラパラ　音がする
全部抱え込んでも 余りある願い

「会いたいよ、会いたいんだ」
駆けぬける列車の　鋭い音に紛れて

カンカン シャンシャン　踏切は鳴る
この世からの音に導かれるように
乾びた本を閉じるその手を止めて… …

「さあ、お聴き、滑稽な奇談の結末を――」