入学式に一目見て 卒業式に恋をした

受験のときに見た番号 俺の一つ前だった
試験の日には気づかずに 名前を知ったのは席替えのとき
不思議と視線が離せなくて 気がつけばいつもつるんでいた
建前無しにつきあえるやつで 親友になれると思ってた

隣にいるのはあいつだと(本気で)信じて
そのくせ自分では何も 気づかなかった
自覚したのは式の後「さよなら」告げた時まで

残酷な瞬間 俺たちの道は分かれていくのに
将来を誓い合わせたわけじゃない
せめて二人の運命が どこかで絡むことを願わずにはいられない
思うだけなら悪くないよな


二年の時に彼女ができた あいつは夏に補導された
補習のときにはノート借りて 徹夜でゲーム挑戦したこともある
恋の話は決まって俺から 泣き言出すのも必ずだった
あいつは黙って胸貸してくれて 最後に少しだけからかった

口から出るのは冗談ばかりで まともな話は滅多になかった
あんなやつに会える偶然 (もう二度と)ある筈もないのに

忘れるかもしれない 俺は忘れるかもしれない
この場所で同じ時 同じ思い過ごしたこと
だからこの胸に湧いた 想いが空へと舞う泡と化す時間だけでいい
あいつの傍に立たせてくれ

約束はいらない 「またな」なんて言葉があるから

桜舞う瞬間 俺たちの道は分かれていくから
錯覚じゃない切なさが胸をつく
少しはにかんだように 笑う君の顔からなぜか目を離せなくて
卒業式に恋をした

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卒業式に、恋をした

昨日卒業式だったので、記念に投稿。

男女間の友情から恋に変わる瞬間をイメージしたものです。

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投稿日:2008/03/13 07:28:50

文字数:617文字

カテゴリ:その他

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