騒奏

酷く冴えた夜の真ん中には
貴女のことが騒がしく鳴っている
言葉にすれば消えてしまいそうだから
貴女と生きたことを記せない

裸足のまま駆けていく想い出に
明日がどうかあるようにと祈っている
孤独と対をなす位置に立ち尽くす
僕のことをどうか忘れないで

きっともう戻らないと知っているから
こんなにも美しく映るのだ

遠い奏　言葉に沿う理想
形のないものを貴女に贈ること
そうして続いていくのでしょう？
彼方にあるもの　求め続けている
きっと　ずっと　何も知らないから欲しいと思うのだろう
きっと　そこに咲いているから

記憶の奥で奏でた言葉たち
貴女の前でおどけてみせたのに
意味違いな色を見せてしまったから
貴女を悲しませてしまったのだ

僕のせいだ
何もかも僕のせいだ

今が　今が
恐ろしいスピードで息をする
僕は息もできずにやり過ごして
こんな風になってまで歩き続けている
今も何もわからないまま　ずっと

いつかなくなると知っているから
こんなにも好きでいるのか
きっとずっと一緒にはいられないから
忘れないように色をつけるよ

遠い奏　言葉に沿う理想
形のないものを貴女と歌うこと
そうして記憶を続けていけばいいのだ
貴女に捧げる騒奏の歌
きっと　ずっと　何も知らないから探しに行くのだろう
きっと　咲き続けているから

気だるげな朝の片隅には
貴女のことがほのかに残っている
言葉にすれば消えてしまいそうだから
貴女と生きたことを忘れない