〈設定〉
RPGっぽく考えたので、覚え書き程度に書いておこうと思います。この世界の舞台は「不思議の国のアリス」をモチーフにしています。ある日アリスは不思議な夢を見ます。姉に起こされて目を覚ましたあと、アリスは得意気にその冒険談を姉に語りました。ただし、その夢は伝染するもので、姉に伝染してしまいます。姉は夢から帰れず、眠り続けるようになりました。
ある晩アリスは、姉の傍らで居眠りをしてしまいます。そこで、再びあの夢を見ることになります。最初はただの夢と疑わないアリスでしたが、その世界の住人と関わるうちに、この不思議な夢が姉を捕らえているのではないかと考えるようになります。そして、その原因をつくったのは自分ではないか、と。
姉の手を握ればまた夢の中に入れること、自分はAliceの役であること、目覚めさせるためには条件がいることをアリスは知ります。アリスは、姉を求めて繰り返し夢を見ます。

この世界で重要になるのが「パロディア」です。もともとある詩歌をもじって作られたものですが、実はこれがヒントの役割を果たします。ルートや選択肢、条件によって「イベント」が変わり、「パロディア」も変化します。

また、最も重要な行為は「目覚め」です。「目覚め」には二通りあって、「正気に戻る目覚め」と「現実に戻る目覚め」が存在します。アリスは、初めから夢を見ている自覚があるので前者は必要ないと思われるでしょうが、実はアリスにも影響があります。これは、後程説明します。また、アリスの「現実に戻る目覚め」は現実で"wake up"と言われることです。



〈イントロ〉
ここで出てくるAliceは、アリスではなくAlice役のことです。Alice役は、大抵誰かから"wake up"と話し掛けられて夢から脱出すること、そのためAlice役は脱け出しやすいことを表しています。また、Alice役の子がこうして夢の内容を語ることで、簡単に夢が伝染するということも示唆しています。

〈Aメロ〉
最初の二行(前半)は、最初のAliceとループ後のアリスの共通事項になります。が、敢えて平仮名にしているところが多少異なります。
Aliceは、ウサギ穴に落ちてさまざまなオブジェを見て回ります。その時に瞳を覗きこむこともあったでしょう。
対するアリスは、オブジェの瞳を除きます。オブジェがアリスたち同様夢に取り込まれた人なら、目を取り除くことで目覚めさせることができるからです。ちなみにこれは「正気に戻る目覚め」なので、目覚めても(自分の現状を認識したことで)半狂乱に陥りますが、まともに意志疎通が図れるようになります。(そもそも住人とは会話にならないので。)そのため、アリスは積極的に瞳を除いて、姉の行方を探ります。ですが、誤って原住人の目を除いた場合には、アリスは一時的に敵と見なされ、住人から標的にされるのでご注意を。

後半は、今ループのアリスです。粗方のルートを試し終えて、次はどうするか途方に暮れているところです。また、「何処へ行けばいいのかもわからず貴女の行方を探す」と言っていることから、まだ姉の手掛かりがまだ何も掴めていないことがわかります。


〈Bメロ〉
ネジが一、二本外れた程度では済まないくらい狂っていること、ヒント(ねじ)がそこらじゅうに散らばっていることを示唆しています。「迷子になっているだけ」と言い聞かせることで、姉は無事だと思い込もうとしています。


〈サビ〉
ヒントのパロディアになります。
「Lonely doll 目覚めてほら 此処も現実で」=「正気に戻る目覚め」があることを示しています。孤独な人形は夢に取り込まれた人々のことです。正気に戻らない限り、この世界で彼等は誰とも意志疎通を図れないので、そういう表現を取っています。
「Fallin'here そばにおいでと 誘われるはエトランゼ」
=此処に落ちてきた中でも、誘われる人だけがエトランゼであると言っています。エトランゼ=迷子と思っておいてください。つまり、誘われた姉だけが本当のエトランゼだという訳です。


〈Aメロ〉
前半は共通事項です。
Aliceはどのルートを選択しても帽子の男=帽子屋に出会います。最初は無意味な会話の中にも意味があると思って、会話します。
ですが、ループ後のアリスは、彼等の勝手な振る舞いに苛立ちを覚えている、かつこの会話(なぞかけ)が本当に無意味だと知っているので、「忌み(嫌な気持ち)をも止めて」何とか会話します。
後半ですが、今ループのアリスは質問することも答えることもせず、ヒントのみ求めます。そこで「こんな歌を知ってるかい?」とヒントのパロディアが与えられます。


〈Bメロ〉
帽子屋が持っている時計は、日にちはわかるけど時間がわからない時計です。その時計の針が狂ったことで、時間が少しだけ進んでしまいます。その結果お茶会の内容が「留まる」ことから「進む」方へ変わり、パロディアも変わったのです。(無意味な会話の続きにパロディアは登場しますが、そこでは最初と同じパロディアです。)


〈サビ〉
「Lonely girl 差し出すことで 夢はとめられる」=迷子の少女を差し出すことで、夢の伝染は止められることを示しています。迷子の少女とはエトランゼ、つまり姉のことですね。実は、これは現時点でクリアされています。姉が気付いて、自らを犠牲にすることで伝染を止めていました。夢が止められているので、アリスは変わらずAliceの役で、同じ夢を繰り返していたのです。ただし、このことをアリスが気付くかどうかは別です。「迷子の少女:(目を)差し出すことで夢から脱出できる」とも取られますし。

「Fallin'love 赤に染められ 彼女は思いの通り」とありますが、Fallin'love=恋に落ちて=ハートになって、という意味になります。ハートになって、赤に染められ、思い通り(に処刑)している彼女は誰でしょうか?という問い掛けですが、何の捻りもなくハートの女王のことです。原作でもスペードに格好も性格も似せてあるので、もともとはハートでも赤でもなかったと見なしています。

それともうひとつ、姉のことを「思いの通り」夢に閉じ込めた人のことも示唆しています。ヒントは「Fallin'love」=恋に落ちてしまった人ですね。姉がハートの女王である時点で特定できるかと思います。


〈Bメロ〉
心優しい姉がそんなこと(処刑)する訳がない!とアリスが思って言い聞かせているようにも、あえての姉視点で、正当化させるための言い訳として使っているようにも捉えられます。RPGでいう分岐点で、この台詞がアリスか姉かによってEDが変わるという要らない設定もあります。


〈サビ〉
姉に提示されたパロディアです。

「Lonely doll 目覚めてほら 此処は夢の中」=当然アリスなら「正気に戻る目覚め」と考えるでしょうが、姉にとっては違います。なぜならひとりぼっちのお人形=アリスだと姉は知っているからです。
「Fallin'here そばにおいでと 呼ばれても行かないで」=アリスあるいは姉に対しての忠告です。

「Lost girl 差し出すまでは ずっととらわれる」=あくまでも「差し出す」という行為が必要になります。つまり、
誰とは言いませんが、此処に居ることを同意しなければいけません。そして、姉はLost girlをアリスのことだと考えます。「何かを差し出すまでは、アリスはずっと夢にとらわれる(夢から帰ってこれない)」と解釈したのです。
「Fallin'love どの言葉にも 耳を傾けないで」=アリスなら「ハートの(トランプの)どの言葉も疑いなさい」と解釈しますが、姉は「ハートになることとは(ハートになってからは)、どの言葉にも耳を傾けないことだ」と解釈します。


〈アウトロ〉
此処から先はネタバレ、というか姉サイドのお話&アリスが真実に気付いたお話です。

誰かから"wake up"と言われてアリスは目を覚まします。ただ、その言葉が本当にアリスに向けられた言葉かはわかりません。Aliceに言われたらアリスは目を覚ますのです。本物のAlice(姉)の代わりに。

アリスは本来少女の人形です。現実で話すことはできますが、手足を動かすことはできません。一人娘のAlice(姉)にとってはよい話し相手になっていましたし、姉妹がいないため妹代わりの可愛い存在でした。また、アリスには自分が人形だという意識がありません。
アリスは、だんだん話す時間が少なくなり眠る時間=夢を見る時間が長くなります。心配するAliceを慰めようと、アリスは人形の夢を面白おかしくAliceに話しましたが、人形の夢は人間の子どもに伝染します。Aliceは眠りにつき、アリスは現実でも自由に動けるようになります。
Aliceは閉じ込められた人形の世界を何となく理解しています。もちろん、アリスが人形だということも。その上でアリスを夢から逃そうと行動に移しました。

「Lonely doll 目覚めてほら 此処は夢の中 Fallin'here そばにおいでと 呼ばれても行かないで」
Aliceが知る最初のパロディアです。人形は「目覚め」るのに「夢の中」。つまり、人形にとって「現実」なんてものは何処にもないのです。後半は、此処に落ちてきた人(人形の夢を知った人)への忠告です。行ったところで貴女が得することなど何もない、人形が人形に戻るだけ。だから誘われても行ってはならない、じゃないと貴女が人形にされてしまうよ、と。

「Lost girl 差し出すまでは ずっととらわれる Fallin'love どの言葉にも 耳を傾けないで」
Lost girlは迷子ではなく、無くした少女=夢から勝手に出ていったアリスのことです。アリスを差し出すまでずっとAliceはとらわれる。逆に言えば、アリスさえ返せば、Aliceは無事に帰してあげる。それなのに、人形に恋して(大事に思って)どの言葉(パロディア)にも耳を傾けないで、何故進んでとらわれるのか、とAliceを非難しています。

あの人=ハートの女王ですね。Aliceがハートの女王なら今度はちゃんと「思い出して」くり貫こう、これはアリスの「正気に戻る目覚め」が関係しています。アリスは目を除くことで正気に戻る=自分が人形であることを思い出します。この記憶は「現実に戻る目覚め」では続きますが、再び夢に入った後には忘れてしまいます。前述に「同じ夢を繰り返していた」とあるように、実はパロディアや夢の記憶は本来引き継げません。今ループのアリスがパロディアや記憶を引き継げたのは、帽子屋のところでお茶会の時間を進めたからです。アリスにはそんなことしたな、という記憶が甦りますが、実際に今ループでそれをしたわけではありません。
という訳で、Aメロの前半は、Alice(姉)がしたこととアリスが過去のループでしたことの区別でもあります。今ループで、「何処に行けばいいのかもわからず貴女の行方を探す」のは当たり前ですね。この時はパロディアも記憶もありませんから。ちなみに、白兎の時計を使っても同じことができるので、上の解釈の場合(ルート)もあり得ます。

ちなみに夢に取り込まれた人々は、人間世界に影響を与えた人形たちです。正気に戻って再び自我を取り戻した人形には、けれども記憶は戻りません。此処が何処か聞いても、「わからない。自分がいつからこうしているのかもわからない」としか答えません。でも、目撃者やら何やらは親切に教えてくれます。(しばらくすると人形に戻ります。)

と、細かいところはともかく、アウトロで言っている「くり貫こう」は、もちろんAliceの目のことです。正気に戻すためですね。そして、アリスは自分が人形だと自覚したので、パロディアを正確に読み解けるようになります。つまり、「差し出す」ことができます。差し出せるのは所有者か自分自身。Aliceが拒んでも、アリスが望めばそれは達成できます。

そもそも夢は、足りない人形を補うために見させるので、Aliceがアリスの代わりに人形になった時点で伝染はとまります。(Aliceは「自分」を差し出していたので。)

しかし、Aliceが正気に戻れば、人形の不在が再び生まれます。Aliceは他のオブジェとは異なり、もとが人間なので一旦人形になっても記憶を保持しています。そのため自然に人形になることはありません。

不在が生まれたことで、アリスは「差し出す」ことができます。アリスが「自分自身」を「差し出す」と、Aliceは現実で目を覚まします。そして、傍らにはもう話さなくなったアリスが自分と手を繋ぐようにして眠っているのです。


〈補足〉
アリスは人間化していました。そのため、アリスには「記憶」と「思考」がありました、今はもうありません。

あと、誘ったのはハートの王様ですね。もちろん、正真正銘の人形なので意思はありません。人形世界の操り人形です。

帽子屋もただの人形。Aliceがさっさとアリスを差し出していれば、早く終わる話でした。が、うまくいかなかったので、アリスに差し出させるために無駄に「混乱」と「思考」を与えました。

イントロの解釈はデタラメです(笑)嘘です、違うエンドの場合です。表記がアリスじゃなくてAliceですね。それにAliceが役名になっています。人形世界にとらわれた人間を助けるために、見せる夢とは果たしてどんなものでしょう。Alice役(アリスも二度目以降はAlice役でしたね)なら大丈夫らしいですが、他の役だったらどうなってしまうのか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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Awake Alice 自分用

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閲覧数:89

投稿日:2015/07/21 23:56:01

文字数:5,644文字

カテゴリ:その他

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