えふぃさんの作られた歌詞「砂原ムゲン」を拝見していたら小説が書きたくなりました。ので、以前書いた短編にリンクさせて書きました。
(身も蓋もない話ですがっ(喀血))
 ファンタジー風味、レン視点の話です。(ちょっと海外組も出演しています)
 短いものですが、とても楽しく書けました。ありがとうございました!
 以下、ちょっとだけ小説の冒頭。


 フレップが赤く実るこの月は、森の魔物が月光と苔で醸した酒を飲み、浮かれて歩き回る月でもある。でもって、気にいった人間の子がいると、お酌をさせようとさらっていくんだそーだ。

「だからレン。リンのこと、よく気をつけてみておいてね。あの子ったら、フレップ摘みに夢中になって、帰れずの湿地に迷い込んでしまいかねないんだから」

 なーんてミクねぇは言っていたけど、さ。俺に言わせりゃミクねぇは、自分が一回、魔物に攫われかけたことがあるからって、心配症すぎるんだ。
 大口あけてメシかっくらってるリンを気にいるような、物好きな魔物なんているわけないし、リンの馬鹿は、また馬鹿みたいにカイトにぃの後をくっついて歩いてるに決まってんだからさ。カイトにぃが一緒だったら、沼の鬼火に誘われてついてってしまうわけもない。そうだろ?

 その歌声で、魔物だって鬼火だって追い払う―――わけじゃないけどな。でも、うん、魔物だって聞き惚れてしまうほどの歌声を持ってるカイトにぃだから。

 俺じゃぜった―――…… って、なに考えてんだよ、俺。

 俺は、リンを探すのはよしにて、かわりに村外れの台地に行くことにした。
 そこは俺の住んでる村の中で、一番見晴らしのいいところだから。
 「外」からの風が吹いてくる、「外」の乾いた匂いのするところだから。
 それともう一つ。
 これは誰にも言ってないことだけど、俺があいつと出会った場所でもあるからな。

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【歌詞支援】砂原ムゲン

閲覧数:228

投稿日:2008/03/11 23:09:05

文字数:789文字

カテゴリ:その他

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