玉響の記憶
籠の中の金糸雀(カナリア)は 仮初めの世界を歌う
さやけき月の影の 道標は消えてしまった
縺れた運命の糸を
解くこともできぬまま
鳥は詠う 終わらぬ夢を
鳥は祈る 永遠の終わりを
暗い暗い篭の中で
羽ばたくときを待ち続ける
いつか交わした
遠い日の約束を抱いて
幾月幾星霜 目覚めの光は未だ遠く
徒花は咲き乱れ 此岸の世を儚む
永久(とこしえ)に咲く夢見草
探し 虹の麓を辿る
色なき風に身を委ね 荻の声をきく
千の夜の願いさえも 夜露に流されて
花風の恋の如く 玉響(たまゆら)に消えうせる
四季は巡りまた思い出す
過ぎ去りし黄金(くがね)の日々よ
もしも生まれ変われるならば
同じ季節を君と共に
君の傍で
永遠よりも明日を望む…
いつか全てが記憶となって
消えてしまうのだとしても
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※注釈
お題:四季の季語を入れる、でした。
さやけき:明るい、澄んだ
影:光
此岸:彼岸の逆、生きている人の世界
夢見草:桜の異名。春の季語
虹:夏の季語
色なき風、萩の声:秋の季語
風花:雪。冬の季語
玉響:刹那、一瞬。
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