暗い路地裏で凍え死ぬのも
時間の問題だって諦めた
街で身を売り続けるくらいなら
人でも殺めて牢に入ろうか

今日はお前か　身形が良いな
どうせ死ぬんだ　お前で好いや
今夜はやけに気分が良いや

「残りの人生、私が買った」

笑い声も掻き消すこの業火の中で
焼き付いた記憶が蘇る
これが走馬灯とか言うものなのかしら
「さようなら」はやめた

痛い事をされるのにも慣れた
どうせ若い身体だからすぐに治る
いずれ守られることのない約束なら
悪魔と契りを結って消えようか

どんな冗談だ　頭悪いな
此処でお前を道連れにするんだ
手を離せ　往生際が悪いな

「正しい鋏の使い方はこうだ」

ワインボトルが爆けるこの部屋の中で
冷たい風が頬をなぞる
一か八か全身で壁を押し込んでみたら
活路が開けた

あなたがくれたワンピースも首飾りも口紅も
跡形もなく消えてしまうけれど
また買ってくれるよね？
ずっと一緒にいてくれるよね？

笑い声も掻き消すこの業火の中で
涙すらも涸れる愛情に縋れ
救われたこの命が花弁を散らす日まで
ただ惜しみなく　余すこともなく
緋色に染まれ