「らーらーらー…」
歌い終わり小さく一礼した主に、微笑んで目の前に座っていた二人の人形は拍手を送った。
「見事ですよ、マスター」
片方の人形が言う。少年の人形。深海のように蒼い髪、夕暮れのような紺色の眼。
「本当?下手じゃなかった?」
「そんなことありませんよ、マスター」
片方の人形が言う。少女の人形。冬空のように碧い髪、朝焼けのような水色の眼。
「そうそう。歌といえばこんな歌もあるんですよ、マスター」
思い出したように少年は言い、目を閉じる。その唇が一つの詩を紡いだ。歌い終わり目を開けると、ぱちぱちと子どもは手を叩いた。
「なんだか不思議な歌だね」
「ええ。これは特別な歌なんです」
「特別?」
子どもの目が輝きだす。くすりと笑って少年は小首を傾げた。
「聞きたいですか?この歌の物語」
「うん!」
「歌の練習はどうされるのです?」
「あとで!」
無駄に元気よく答えられた返事に苦笑し、少女は少年と目を合わせた。
「それでは」
「ああ」
少年が目を閉じた。寝具に腰掛け、子どもは聴く体勢になる。
「遠く遠く。森の奥深く住まうのは、双子の魔術師。兄妹の物語」
少年の低い声が部屋に響く。続いて少女が口を開いた。
「昔々の呪術師の唄―この唄は絶対歌ってはいけませんよ。なんせ呪われていますから」
いつもと違い、低く囁かれた声に、びくりと子どもが震えた。微かに笑みながら少女は続ける。
「謳えるのは作った魔術師か、我々人形ぐらいですよ。わかりましたか?マスター」
思わず子どもは頷く。それを見て少女も目を閉じた。少年と少女の言葉が唱和する。
「「では、始めますよ…」」
或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』
原曲:青磁/即興電P様
或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』序章
お久しぶりです。
今回も青磁/即興電P様の曲、『言霊使いの呪い』を小説化させていただきました。
完全に自己解釈です。
素晴らしい原曲様↓
http://piapro.jp/content/9wjcmkl4r25f4bmf
全体的に長いです。どれだけ長いかは同じく書かせていただいた『雪菫の少女』を参考にどうぞ↓
http://piapro.jp/content/4evdh34m46jiq541
就職活動って難しい。
現在第六章執筆中。
第一章→http://piapro.jp/content/i38pmjrhrnxofrrd
第二章→http://piapro.jp/content/ck9gsc9ucow02ytt
第三章→http://piapro.jp/content/7rm0ks563eqh3mcs
第四章→http://piapro.jp/content/tugfpt5912oqdu47
第五章→http://piapro.jp/content/vv4bg6r0cl10is39
第六章→来年。良いお年を。
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