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「…………」

 聞こえないくらいの小さな息を1つついて、外が見えるように電車のドアにもたれる。


 流れる景色に重なって映る私の顔は、校則違反だったピアスホールとか、レッドブラウンの口紅(ルージュ)とか、………高校生だった頃とまるで違う。

 あの頃は履かなかったヒールの高いブーツも、綺麗に整えて塗った長い爪(ネイル)も、私が大人になるために揃えたもの。


 時間は時に残酷なのかもしれない……。


*********

 18のバレンタイン。


「春からは離ればなれだね…」

 センター試験も終わって、あとは卒業を待つだけで。


 窮屈な制服は早く脱ぎ捨てたいけど、離れるのが少し怖かった。

 そばに居すぎたから、隣にいることが当たり前だったから。


 彼の行く場所は、列車で数時間。

 そう簡単には会えなくなる。


 不安に押し潰されそうな気がした。


「大丈夫だって」

 涙目になる私に、彼は笑いかける。

「少し離れたくらいで、ダメんなる俺たちじゃないだろ?」

「……だって」

 誰より素敵な貴方だから、離れたら、心まで離れていきそうで。

 遠く離れた地で、私なんかよりずっと魅力的な女性(ヒト)がすぐに現れそうで。

 怖いの。

「しょーがねぇなぁ…」

 頭をがしがしとかいて、制服のポケットを探る。

「ん」
「え…」

 1年前のバレンタインの時の私のように、そっぽ向いたままの彼から、小さな小さな箱が手渡される。

 箱の形で中身がわかった。

 震える手でそっと箱を開ける。

「センター終わって、ド短期のバイトくらいしかできなかったからさ。あんまいいもんじゃないけど」

 紅い小さな石が埋め込まれたシルバーリングがぼやける。

 彼が左手を取り、薬指にはめてくれた愛の証。

「いつかちゃんとした本物、……待ってろよ」

 ……もう何年も前の話。今は遠くで響く声……。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(2)

前に書いた小説の続き。

1話のURL↓
http://piapro.jp/content/q5if953xhfk6pmfe
3話のURL↓
http://piapro.jp/content/3hxdlzr2ths8mwix


完結してないけど、タイトルは『遠距離恋愛。』で。

歌詞も同じタイトルで………書けるといいなぁ。←



そして今や想定してなかった方向へ話が向かってる事実に、頭が真っ白です……orz


どうすんの、あたし……。


終わりが見えない……(笑)


ここまでお読みいただきありがとうございました。
お粗末様でした。

哀。

閲覧数:199

投稿日:2009/06/15 19:37:54

文字数:822文字

カテゴリ:小説

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