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「…………」
聞こえないくらいの小さな息を1つついて、外が見えるように電車のドアにもたれる。
流れる景色に重なって映る私の顔は、校則違反だったピアスホールとか、レッドブラウンの口紅(ルージュ)とか、………高校生だった頃とまるで違う。
あの頃は履かなかったヒールの高いブーツも、綺麗に整えて塗った長い爪(ネイル)も、私が大人になるために揃えたもの。
時間は時に残酷なのかもしれない……。
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18のバレンタイン。
「春からは離ればなれだね…」
センター試験も終わって、あとは卒業を待つだけで。
窮屈な制服は早く脱ぎ捨てたいけど、離れるのが少し怖かった。
そばに居すぎたから、隣にいることが当たり前だったから。
彼の行く場所は、列車で数時間。
そう簡単には会えなくなる。
不安に押し潰されそうな気がした。
「大丈夫だって」
涙目になる私に、彼は笑いかける。
「少し離れたくらいで、ダメんなる俺たちじゃないだろ?」
「……だって」
誰より素敵な貴方だから、離れたら、心まで離れていきそうで。
遠く離れた地で、私なんかよりずっと魅力的な女性(ヒト)がすぐに現れそうで。
怖いの。
「しょーがねぇなぁ…」
頭をがしがしとかいて、制服のポケットを探る。
「ん」
「え…」
1年前のバレンタインの時の私のように、そっぽ向いたままの彼から、小さな小さな箱が手渡される。
箱の形で中身がわかった。
震える手でそっと箱を開ける。
「センター終わって、ド短期のバイトくらいしかできなかったからさ。あんまいいもんじゃないけど」
紅い小さな石が埋め込まれたシルバーリングがぼやける。
彼が左手を取り、薬指にはめてくれた愛の証。
「いつかちゃんとした本物、……待ってろよ」
……もう何年も前の話。今は遠くで響く声……。
【歌詞創作用小説】遠距離恋愛。(2)
前に書いた小説の続き。
1話のURL↓
http://piapro.jp/content/q5if953xhfk6pmfe
3話のURL↓
http://piapro.jp/content/3hxdlzr2ths8mwix
完結してないけど、タイトルは『遠距離恋愛。』で。
歌詞も同じタイトルで………書けるといいなぁ。←
そして今や想定してなかった方向へ話が向かってる事実に、頭が真っ白です……orz
どうすんの、あたし……。
終わりが見えない……(笑)
ここまでお読みいただきありがとうございました。
お粗末様でした。
哀。
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