電波屋たまゆら

『東京』
二年と五日前の空を
はっきりと覚えている
大都会踏みしめた靴の
紐が解けてたことも
三日月は今日とて
鋭利な刃物に似てる
あのひとにだけ
告げた秘密
痛いことは案外...

『狭霧と尸』
歪む森の夜が明ける
未だ眠る君はかつて
国のために死して
今は忘れられた騎士
開かぬ瞳
消えた鼓動
腐り落ちることを拒む
花に罪はあるかないか
知らぬ存ぜぬ...

『ヒトリシンジュウ、ジキルノヨルニ』
＜レンパート＞
（１：０８～）
命を分けて
（１：２４～）
ジキル今　生きる意味　息を止め君に問う
君は目を　伏せたまま　月を踏み微笑んだ
ジキル今生きる意味
息を飲み君に問う
君は目を伏せたまま...

『６文字の勇気』
「もし、あの時」
なんて６文字が
脳内を巡った
続く言葉の中にはさ
後悔もたくさんあるけどね
あなたに出会えたのは
最高の偶然
あなたに会わなくても
生きてはいたでしょうけど...

『ジキルとハイド（仮題）』
（００：２９～）
　７　５　６
　午前二時過ぎ　冷え切った　罪と罰の
　ごぜんにじすぎ　ひえきった　つみとばつの
　５　５　４　４
　天秤は　どちらにも　揺れて止まらない
　てんびんは　どちらにも　ゆれてと　まらない
　５　５　６　４
　足下に　転がった　赤と黒の　ナイフ...

『首狩りトム』
　玩具箱の中で
　きみを待つわたし
　きみが愛してくれた
　ブロンドの髪
　青い硝子の目玉
　きみに向けたなら
　仲間たちを手に
　遊ぶきみの姿
　床にちらばった...

『ぼくのナイフ』
　ぼくのナイフはつよいよ
　だって、ずっと研いでいたから
　ぼくのナイフはつよいよ
　だって、ずっと待っていたから
　誰に何を言われても
　ぼくは黙って笑って見ていた
　誰が何をしていても
　見ないふりして
　目を閉じる...

『ジキルでハイド（仮題）』
（００：２９～）
　午前二時過ぎ
　冷え切った
　罪の
（００：３３～）
　天秤は
　どちらにも
　傾いて
　止まらない...

『アオイトリ、シンダ』
今日は１日雨だから
探しに行くのは
やめよっか
鈍いめまいの朝
窓枠の埃が舞った
わたしの指の青い糸
切った青い目の紳士が
そっと教えてくれた
幸せって...

『ホットバタードラムカウ』
　眠る前のひとときは
　どうしてこんなに寂しいんだろ
　瞬きする間に世界が
　終わってしまうかも、だから？
　数え損ねた羊は
　どこまで果てない旅をするんだろ
　朝焼けの先、何かを
　見つけて死んだのですか？
　角砂糖ひとつ...

『変愛感情――恋ではありませんか？』
　そもそもそんなによく知らないし
　四六時中考えてはないし
　文系理系も、趣味も趣向も
　ひとつも同じところがないのに
　具体性に欠けたこの感情
　言い表す言葉が見当たらず
「それってもしかして」だなんて
　無責任な誰かにだけ言われた
　おかしな私の思考回路...

『しゃんぐりとぐら』
甘く寂しいカクテルが
丸く大きなカステラに
素知らぬ顔で
置き換わった夜
優しい世界はニセモノだ
嘘にしたのは
誰なんでしょうか
理想なんて、たぶんさ
そう遠くないよ...

『ティースプーンを探す旅』
もう何件回ったかな
まだ見つからない
こころときめく
ティースプーン
人って不思議
なくてもいいもの
見つけるために
永遠という
時間を使う...

『なんかうそっぽい愛の歌』
　口先だけの「アイシテル」
　炭酸水の泡のよう
　カロリーオフの昨日は拗ねて
　喧嘩にもならない喧嘩。
　大好きだとか運命だとか
　言えば言うほど白々しいや
　君に会うまで
　好きになるまで
　ただ本当のこと言うのが...

『はるだるま』
ぼくはだるま
ゆきだるま
真冬の朝に
作られた
小さなだるま
ゆきだるま
春が来たら
溶けるさだめ
そんなのやだよ...

『きみのいないきみの誕生日』
そっちの世界はどうですか？
偉人に会ったりしましたか？
こっちの世界は快晴で
今日はきみのいない
きみの誕生日
寂しくないは嘘だけど
思ったよりはだいじょうぶ
だって、ケーキの甘さも
交わすグラスも...