+KKさん

思いついたことをマイペースに書いていけたらいいなぁと思っている暇人。

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2012
~1/ 3  ツギハギだらけの今(完結・全9話+α)

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【独自解釈】Alice’s Nightmare【人柱アリス】 2

!!!Attention!!! これは「人柱アリス」の勝手すぎる設定の解釈小説です。 主人公、名前出てきません。 VOCALOIDたちが不思議の国のアリスの登場人物になっています。 海外組もそのうち出てきますが、ほぼオリキャラみたいな扱いです(ノット外国語)。 常にシリアス展開です。 以上のことを許せる方は本編へどうぞ!    第二章 不思議の国  ――かちこち、かちこち。  どこからか規則的に耳に届く時計の音に、ゆっくりと瞼を開いた。視界一杯に広がる黄緑色。感触からして、草の上に寝転がっているらしい。そういえば匂いも青臭い感じがする。ついさっきまで私は確かにアンティークショップの中にいたはずなのに、何故外にいるのだろう。  記憶がおぼろげなのは、薬か何かで眠らされていたからなのか、それともあれが現実ではなくただの夢だったからなのか。後者の方は、私の好奇心を満たすためにも肯定したくないけれど。  体を起こして手元を見ると、ちょうど腕時計の辺りに顔を置いていたらしく、その時計の音で目を覚ましたらしいということがわかった。もしかすると顔に腕時計の跡形が残っているかもしれない。それはものすごく情けないな。  きょろきょろと辺りを見回せば、全く見覚えのない森。自分の傍らには大きな木が立っていて、ますます自分の置かれている状況がわからなくなる。さっきまで確かに店の中にいたはずなのに、何故こんな森にいるのだろう。これだけ大きな木があれば記憶に残っていそうなものだから、多分知らない場所だ。  頭を抱えたくなりながらも、どこかでこの状況を楽しんでいる自分がいることに気付く。すっと立ち上がり、とりあえず草の上に寝転んでいたせいで汚れてしまっただろう制服をはらおうと視線を下へ向けた。そこで一拍停止。リズムが狂わされる。 「あ、れ……?」  着ていたはずの紺色のセーラー服はどこへやら、自分の格好はいつの間にか外国風のエプロンドレスに様変わりしていた。喪服を思わせる黒が、いやにメイド服を思わせるけれど、妙にファンシーな色でないだけまだマシだろうか。もちろんマシなだけであって、私の趣味ではないけれど。  他に着替えなんて持っているわけもなく、ため息をつきながら服についた草をはらい、自分が持っていた鞄を探してみる。ないとは思うが、念のためだ。  足元に何もないことを確認して、他に視線を巡らせる。少し歩いて大木の裏へ回ったところで、そこにバスケットが置いてあるのが見えた。  特に何も考えずにそのバスケットにかかっていた布を外すと、中には、今朝確かに自分で作ったはずのサンドイッチが入っていた。折り畳み式の弁当箱に詰めていたはずなのに、丁寧に中身だけアルミホイルに移して、バスケットに入れてある。アルミホイルの上部はラップで蓋をされていた。  普通の誘拐犯が、こんなことをするだろうか。サンドイッチの件は置いておくとして、いわゆるロリコンという類の人物が犯人なのだろうか。全くもって、犯人の意図が謎だ。(その前に、ロリコンと言うには年齢的におかしいかもしれない)  それでも、つまらない毎日を繰り返すよりはまだおもしろいかもしれない。ありふれた現実からの脱却――今、私は不思議な事件に巻き込まれている。それは、最高に私を高揚させていた。  一通りの分析を終えて現実に帰還。しかし、特に何もすることはなく、バスケットの中のサンドイッチに手を伸ばす(毒が入っているかもしれないが、ここで死んだら運が悪かったというだけだ、なんて考えている私は異常なんだろうな)。食べながら考えることは、ここがどういった場所でどうすれば元いた場所へ戻れるのかということだ。言うまでもないけど、毒は入っていなかった。  これが現実であると仮定すると、私が置かれた状況こそが行方不明者の辿った道なのかもしれない。そうであったなら、今私は行方不明者の仲間入りを果たしたことになる。そしてこれが噂通りなら、行方不明者である自分は、元の場所へは戻れないということだろう。そういえば、元の世界には戻れない、だとか声を聞いた気がする。  ――それは少し困るわ。  どんなにくだらない世の中でも、それなりに楽しみはあったのだ。読みかけの本も、まだ手を付けていない本もたくさんあるし、観たい映画だってあった(他にもあった気はするけど、今は思いつかない)。けれど、結局『今』を楽しまなければ損だという考えにたどり着き、サンドイッチの最後の一欠片を口に入れた。  そこでふと、バスケットの底に光るものがあることに気付く。  手を伸ばして摘み上げると、それはどうやら宝石のようだった。気持ち悪いほど赤い、綺麗な宝石。まるで生命が宿っているかのように見えるその赤い宝石をバスケットへと戻し、他に何かないかとバスケットの底や上にかけてあった布を調べてみる。  すると、翻した布から一枚の紙が地面に落ちた。 「……トランプ?」  プラスチックでできているのか、随分と丈夫なそれを拾い上げてひっくり返してみる。特に変わったところなどない、普通のトランプ……ハートのエースだった。見た目は。  だからこそ、トランプが私の手を離れて急に浮かび上がった時には、目を見開いたのだ。超能力にでも目覚めたかと一瞬思ったけれど、そんなことがあるはずもない。  宙に浮かんだトランプは表を空へ向けたかと思うと、何やら人影のホログラムを作り出した。それはシルエットの上、画質も悪く、表情もわからないけれど……ただ、それが女性であることはシルエットの形から十分にわかった(まさかオネエだとかそういうオチはないだろう。それはそれでおもしろいけど)。 『ようこそ、不思議の国へ』  涼やかな声がホログラムから再生される。ホログラムの女性が告げた言葉が、どこかで聞き覚えのあるものだということは……つまり、これが現実ではないということを示しているのだろうか(不思議の国なんて、いかにも、だ)。そうなると、これはやはり都合の良い夢か。私の脳は一体何を考えているのだろう。  そんなことを考えているとも知らず、そのホログラムは更に言葉を続けた。 『ぜひあなたを城へと招待したいのですが、迎えを出すことができないのです。城までの道を歩むために何か必要なものはありますか?』  ホログラムに尋ねられ、これは録画ではなくリアルタイムなのだと認識する。ああ、でもこの世界の技術がどれだけ進んでいるかわからないから、そう決めつけるのは時期尚早と言ったところだろうか。けれど、必要なものはあるかと尋ねられても、何が必要かなんてわかるわけがない。この先がどうなっているか知らないのだから当たり前だ。  ここで城へ行く気がないと言うのはどうだろう。優しそうなこの声の主ならば、出口を教えてくれるかもしれない。それが出口と言っていいものなのかどうかはわからないけれど(夢ならどうにかして起きればいい、というのはわかる)。 「何も要りませんし、招待もお断りします。そんなことより出口を……」 『申し訳ありませんが、今の私には城へ招待したいということしか言えないのです』  夢ならではのわけのわからない物言いに少し呆れつつも、「そうですか、では必ず参ります」とだけ言葉を返す。現実的な対応をしても無駄だと悟ったのだった。現実に戻る前に自分の夢の中を探索するのも悪くない。  ホログラムが消えた瞬間、力をなくしたように地面に落ちたトランプを拾い上げる。城へ招待されたはいいが、道がわからないのではどうすることもできない。必要なものはあるか、と尋ねられたのだから、地図を求めるのが正解だったか。歩いていればそのうち辿りつけるかもしれないけれど……気の長い話だ。  これからどうしようかと手にしたそれを見つめてみる。すると、突然トランプに矢印が浮かんだ。もしかすると、これが城への道標だとでも言うのだろうか。うずうずと心が騒いだ。  トランプの上に浮かんだその矢印を見た瞬間、私の中で答えは決まった。これからどうするのか、という問いの答えなんて考えるまでもなかったのだ。それ以外に自分を導くものが何一つないのだから、提示されたそれに従うしかない。いや、そうでなくても従っただろう。何しろ、私はおもしろいことが好きなのだ。何よりもこの状況が私の目には魅力的に映ってしまう。  その城とやらに行けば、もしかするとホログラムの彼女が助けてくれるかもしれない。私が出口はどこかと尋ねようとした時、城に招待したいということしか言えないと言った。今の私には、と。ならば、城に辿りつけば出口の場所を教えてくれる、ということかもしれない。そう考えられるわけだ。  ――というのは、全て後付けの理由だ。要するに、私はこの状況を楽しみたいだけだった。全く不安がないというわけでもないけれど。  鞄がなくては何かと不便だろうと思い、できれば遠慮したいところだったけれど、バスケットとトランプをしっかり持って歩き出す。こういうアイテムを持っていると、後々役立つかもしれないからだ。ゲームや物語ではこういうものは絶対に後々必要になってくる。  あまり気ノリはしなかったものの(と自分の心を誤魔化して)、トランプが示す矢印の方向へと私はただただ黙々と歩き始めた。 ◆

続いてます。
投稿日時 : 2012/08/12 22:08

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