重みを失った孤独なヒカリは
いつしか壁にぶつかって
星空の吹き溜まりで
見えない砂粒の海に閉じ込められた

いくつもの粒が僕を取り囲んでく
慌てて浮き上がろうとする僕をとどめる
焦りが恐怖に塗り替えられてもがいてるうち
やがて背中の翼が折れた

未知の夢の在り処を求めて
その目的も忘れ何億光年
次元の違う宇宙に迷い込んだ僕は
帰る場所も辿りつく場所も失って ただ君を想った

その時闇が揺らいだ

Higgs boson that’s a glanure of God
飛び込んだ銀河のクモの巣は
僕のココロから孤独な自由を奪った
黒い宇宙(そら)の糸に冷めた身体をひっかけられて
落ちるはずのない加速が止まった


誰もいない遠い宇宙の果ての果て
残された存在意義(イデア)も失って
星空の吹き溜まりで
僕は初めて震え叫び声を上げた

泣くことなんて随分
遠い昔に忘れ去ってしまっていた
翼をもぎとられたこの背と胸の痛みが
空虚だった僕の身体に再び生きている実感を灯した

“コワイヨ、サミシイヨ・・・アイタイ”

Higgs boson that’s a glanure of God
捕われた闇夜の落とし穴(エアポケット)は
僕を動かしてた虚ろなユメを奪った
黒い粒たちに冷たい輝きを吸い取られて
マイナスの質量がゼロに戻った


すべてを諦め ただ沈みゆく黒い海の中で
僕は久しぶりに
ゆっくりと呼吸(いき)をすることができた

いつからだろう?僕が飛ぶことしかできなくなったのは
ゆるやかに流れる時間の中で
はらはら涙こぼしながら考えていた
突然に、海の中から信号 誰かからの着信 光るブレスト
優しい声がそっと問いかけた、
僕がこうまでして果てを求め続けた
本当の理由は何だ?

“That’s a your genuine star”


囁きかけた深いチェロの音色
それはきっと神様か英雄(ドクター)の声
それに気づいた僕は、ようやく大切なことを思い出した

そうだ、最初から求める必要なんてなかったんだ
僕の星は初めから
母なる惑星(アース)で、僕の側で瞬いてた
僕の涙 粒に触れたとき突然に海が流れ出して
君の声がブレストに響いた

“Hello, my dear”

Higgs boson that’s a glanure of God
質量は心のブレーキ
後に残した誰かを思う気持ちが
無限に早く飛べる力に鎖を掛ける
ヒカリさえも閉じ込め、そして奇跡が起こる

Higgs boson that’s a glanure of God
神様の優しい悪戯=導きで
僕ら愛を知り再び惹かれあう
再び満たされた心は空を飛ぶには重たすぎ
永遠と思われた旅が終わった


愛を思い出した迷子のヒカリは
神様の砂場を落っこちて
時の海を遡り
生まれた青い海の惑星(ほし)へと還った

今夜も僕はあの星の丘で
君とはるか宇宙(そら)を見ている
笑う君の瞳に
映り込んだ夜明けの愛(ラブ)と喜び(ジョイ)の光

また君に会えた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

神様のグラニュール -Higgs boson and the lonely stardust-

2011年宇宙・物理学の大発見記念シリーズ最後の作品。
今回のテーマは「ヒッグス粒子」。もともと質量のなかった宇宙の素粒子全てに質量を生み、宇宙の誕生の鍵を握るといわれる粒子…だったと思います。「神の粒子」と呼ばれ、存在が予言されながらも確認されてなかった粒子の一つでしたが、最近になってかなりの高確率で存在することが確かめられたそうですね。

結末は前作のタキオンが絡んできます。タキオンが存在すると、過去へのタイムトラベルも可能になるとか。最後「僕」が元の時代の地球へもどったのはその理由からです。実際にはちょっと違うっぽいですが、ハッピーエンドにできてよかった・・・

繰り返しますが私は物理畑でもなんでもないので、何か間違ってたらご指摘いただけると嬉しいです。英語の部分もあってるかどうか推敲してください。

――――神様の砂の海に捉えられ
    僕はまた、君の元へ還る。

  “ココロ”は重たすぎて、抱えて飛ぶことはもうできないよ。

解説はコチラ→http://piapro.jp/t/L_jn

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投稿日:2013/08/21 14:41:26

文字数:1,268文字

カテゴリ:歌詞

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