ゴールデンウィークってのはあっという間に明けてしまうもので。それはどの学生もあと数日欲しいとか思ってしまう時期なのだろう。五月病ってやつだ。
神威がくぽという少年はそんなこともなく、今日もまた文庫本を読み耽っていた。
そういえば。
神威はふと思い出したように呟いた。
「転校生がくるんだったな……」
それと同時に、チャイムが鳴った。
≪夢と実験とラプソディー【オリジナル】≫
「はい、席につけ男子共喜べ転校生じゃー」
「いや毎回思うけど適当過ぎないか」
もはやメイコ先生登場時の神威の心の中でのツッコミは恒例行事になりつつあっていて、それを神威自身は苦とは思ってもいなかったようだった。
「はい、それじゃはいっていいよー」
教室の扉が大きく開かれたのはその時だった。
入ってきたのは、薄桃色の長い髪が特徴的な少女。
「――はじめまして。イアと言います。
この学校にきたのは親の都合でここにきました。
まだ慣れないことがあるのでまだまだお世話になるところがあるかもしれないです。
けれどよろしくですっ!」
――イアがこのあと、男子たちのハートをがっちり掴んだのは言うまでもない。
*
次の時間はさっそく実験なのである。この学校は普通高校なはずなのだが物理系の主任が彼女――リリーであるためか、物理系の科目に重点が置かれている。
「だからって朝から実験はきついよねえ……」
「しゃーないだろ。時間割はこうなってるんだ」
「そりゃそうだね。……でなんでこのグループなんだろうね?」
「……」
実験は基本四人班で行われる。なので、今いるメンバーは神威、ルカ、レオン、そして――
「……えっと、イア……さんだよね?」
「…………はい」
「僕はレオン。よろしくね」
「私はルカ! こいつは幼馴染の神威」
「こいつとはなんだこいつとは」
「仲いいんですね」
「そりゃあまあ! こいつとはもう10年近い付き合いだからねー」
「……そのうち半分は会話すらしてないがな」
「……?」
神威の言葉にイアは首を傾げた。
その動作を見て、神威は継ぎ足したように一言。
「――ああ、ちょっと事故があってね。それでだ」
それを聞くと、イアはかけていた眼鏡をずり上げ、話を理解したらしく、なんどもなんども頷いていた。
神威はそれをみてへんなやつだな、と思った。
だけど。
そんなのも面白いな、と神威は思ったのだった。
つづく……?
夢と実験とラプソディー
第6話。
次の話、「月と幻妖のフェアリーテール」に続きます。
前作「鯉と週末とアイロニー」:http://piapro.jp/t/ezhl 05/03
次作「月と幻妖のフェアリーテール」:
コメント0
関連動画0
オススメ作品
誰かを祝うそんな気になれず
でもそれじゃダメだと自分に言い聞かせる
寒いだけなら この季節はきっと好きじゃない
「好きな人の手を繋げるから好きなんだ」
如何してあの時言ったのか分かってなかったけど
「「クリスマスだから」って? 分かってない! 君となら毎日がそうだろ」
そんな少女漫画のような妄想も...PEARL
Messenger-メッセンジャー-
【頭】
あぁ。
【サビ】
哀れみで私を見ないで
(探したい恋は見つからないから)
振られる度に見つけて
いまは見えないあなた
【A1】
儚い意識は崩れる
私と言うものがありながら...【♪修】スレ違い、あなた。
つち(fullmoon)
アラビアの夜
骨董屋の女主であるルカは口元に人差し指を立てて静かに語った。
「……ここだけの話よ。このコーヒーカップにはイワクがあって―――」
客は彼女一人、寒風が窓を揺らす中でルカは物騒な話を始めた。
メイコにしてみればこれから話す内容次第で目の前にある年代物のコーヒーカップを買うかどうかを吟...メイコちゃんカフェ 『アラビアの夜』
kanpyo
彼女たちは物語を作る。その【エンドロール】が褪せるまで、永遠に。
暗闇に響くカーテンコール。
やむことのない、観客達の喝采。
それらの音を、もっともっと響かせてほしいと願う。それこそ、永遠に。
しかし、それは永久に続くことはなく、開演ブザーが鳴り響く。
幕が上がると同時に、観客達の【目】は彼女たちに...Crazy ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
円尾坂の仕立屋
詞/曲 mothy
円尾坂の片隅にある 仕立屋の若き女主人
気立てのよさと確かな腕で 近所でも評判の娘
そんな彼女の悩みごとは 愛するあの人の浮気症
「私というものがありながら 家に帰ってきやしない」
だけど仕事は頑張らなきゃ 鋏を片手に一生懸命
母の形見の裁縫鋏 研げば研ぐほどよく...円尾坂の仕立屋
mothy_悪ノP
「君へ続く軌跡」作詞作曲/駒木優
心のなかは空っぽで 何してても
頑張れずに
一つのことも成し遂げれない
自分が嫌になるよ 今も
当たり前も できない
僕を責めた いつだって
必死で 生きてるのに伝わらない
居場所が 奪われてゆく
声や視線が 雨のように...君へ続く軌跡_歌詞
駒木優
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想