雨だ。
 こんな日は外に出ることなんてしたくないのに、なぜか授業が休講である。
 だが、そのあとに時間がつっかえている。暇である。

「神威ー。大富豪やろー」
「また懐かしいのをやるねえ」
「いいじゃん。リンちゃんのクラス花札やってるんだってよ。ああリンちゃんどうしてあなたはそんなにリンちゃんなの……」
「頭冷やしてろ。そんなに好きならそっちに行ってればいい」
「ダメよー。向こう忙しいんだものー」
「……で、ちなみに聞くがメンバーは?」

 神威が尋ねると、そそくさとイア、グミ、ミク、レオンの四人がやってきた。

「六人か……。遣り甲斐があるね」
「おっ、神威が動いた」
「うるさい。いちいち言うな」

――そんなわけで、総勢6人による大富豪が行われるのだった――。


<雨と大富豪と階段革命【オリジナル】>


「よし、じゃあここでこいつ使っちゃえ☆」
「ちょっとルカなんでここでジョーカーと2三枚?! 無茶に決まってんじゃん!!」
「そう言うと思ってました~!」
「――だが、君の負けだ」
「えっ? レオン、どういうことだ?」
「神威。知ってるか? ――」










「――大富豪は二上り禁止なんだよ」


「あああああああああああああああああああっ!!!!!!」
「ざまあみろー」
「眩む視界に君の横顔 笑ってるような気がしたー」
「それどこの8月だよっ?!」
「ほらほら 神威がんばれー」
「投げやりだよね?! 投げやりにも程があるよね?!」
「ずるーい。二人だけ遊んでー。私もマリーで参加したいー」
「いやだからどこのフォレストじゃい!!」
「……神威、キャラ崩壊してるよ?」
「いや。そんなのどうでもいいっ!!」

「どうでもいいのかよっ?!」×5

 だが、神威は知ることはなかった。
 神威以外の全員がペアばかりでもう上がる直前であることを――.






「負けたぁっ!!」
「だから言ったじゃないか……あそこでイレブンバックしていいのか? ……ってね」
「だってまさかそこで階段革命くるとは思わなかったし!!」
「いやーそこは神威に運がなかったってことで」
「いや、絶対ダメだ……! もう一回!!」
「はい、授業やるよー」
「メイコ先生ちょっとまってて!!」
「えっ」
「今から大富豪やるんで!!」
「ちょ……」

 メイコ先生は教科書で肩をトントンと叩きながら。

「なんか、めんどくなったな。……よし、今日は自習!! という名目で休みにするから帰っちゃっていいよー」
「ありがとうございます!!」
「別にあんたのためにやったわけじゃないわよ」

 ――メイコ先生、ツンデレ?
 ルカがそんなことを考えている、がそんな時間など与えられなかった。

「さあ。ルカ。やるよ!!」
「もう……やだー……」


――このあと、およそ三時間後に神威が階段革命をやり遂げ、勝利するまで全員が帰れなかったのは、また別の話。


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

雨と大富豪と階段革命

第8話。ギャグ回です。

ネタが多いので気になる方は注意してね!!

前作「月と幻妖のフェアリーテール」:
次作「雨とあじさいと宣戦布告」:

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投稿日:2012/05/04 22:49:47

文字数:1,231文字

カテゴリ:小説

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