感情を隠すために酒を飲んだ。
意外にも、冷静になれるもんだ。
さて、回想しよう。
まず、私は人の顔がわからない。全て白い影に見える。が、親しい人は何故か影が黒く見える。
それに、私が恐怖している時、影は大きくなり、私が安らいでいる時、影は揺らぎ小さく見える時がある。
きっと私のそれは感情によって変わるのだろう。
そんな私は、いつもと変わらない日常を過ごすはずだった。
ある日、目が覚めて遅刻だと悟り、病院は後回しにし、とりあえず用事がある先生のもとへ向かった。
その途中、ゲッカと会い話もした。ああいう仮面が好きなのだろうか?
次にビザンと会い、チラシ作りを手伝った。
問題はそのあと、気配を感じてとある部屋へ。・・・倒れている人とそれを見下げるような人。それが、被害者と犯人であると気付くのはもう少し先の事。
私は犯人と戦ってみた。が、失敗に終わり気絶。
目を覚ませば友人達が集まっていた。今までの情報から察するに、この中に犯人がいると確信した私は動揺、パニックを起こした。が、ビザンによってそれは止められた。
そのあと、私はサチ、ビザンと共に部屋に入りあまり触れずに見る感じで調査。

気になった点は以下だ。
・返り血の有無とそれによる付着点
・凶器は誰のもの?
・動機は?

私から友人に対してはこのような感情だ。
・サチ、『不審』地下礼拝堂で何をしていた?
・ビザン、『鬱陶しい』心配してくれているようだが、あまり付き纏わないでほしい。
・ゲッカ、『不思議』こいつが一番よくわからん。
・ハコ、『未知』今日も、今までも、あまり話はしていなかった。この中で一番会話していない気がする。
・レイジ、『空白』あいつでもいなくなると寂しいもの。これが死なのか。

ああ、酒が回ってきた。
考えろ、今の私にとって必要なもの。
・・・武器か?武器、明日調達にでも行くかな。
いやそれも必要だが・・・今必要なのは、声、か。
声で誰が誰かを判断する。もしかしたら、何かしらで声や姿を変えるかもしれないからな。
それを踏まえて考えてみよう

・レイジ 故人、メガネをかけている。冷静と言うか大人しいというか・・・あまり喋ったことがないな。
いや、そうだ。昔一度彼の喋り方で私がひどい事を言ってしまい、距離があるんだった。・・・仲直り、出来なかったな。
声は低め、程よくみんなと仲が良いという感じか。

・ゲッカ よくタバコを吸っていて一番よくわかりやすい影の持ち主。
サチ、ビザン、レイジとは仲が悪そうだが、ハコとは仲がよさそうに見える。私はゲッカと会ってもあまり話はしていない。
ああ、そういえば医者を目指してるとかなんとか。
声は少ししゃがれている。前にふざけてやっていたサチの声真似はうまかった。

・ビザン この中で一番背が低い。声は男の割に高めで、一応全員の声真似は出来る。あまりうまくはないが。
サチと仲が悪そうで、ハコとレイジとは仲がよさそうだ。ゲッカは知らん。
失踪した兄がいるらしい。
そういやビザンは将来どうするのだろうか。とくに聞いていないが。

・サチ なんだか怪しい宗教系の信者。神は絶対的存在であるとかなんとか。
男性陣と仲が悪い・・・と言うか、怪しい存在だと思われているのか、あまり話しかけられない。が、サチから話しかければ会話はそこそこ続くようだ。
女性陣とは仲が良い。の、だろうか。私的にはサチの思考は恐ろしいが興味深い。
声は女性にしては低く・・・前にゲッカの声真似をしたときはうまかったな。

・ハコ 所謂ギャルでモデル。チャラチャラした感じが苦手と言うか慣れないが、結構話は弾む。
とても気さくでフレンドリーなため、サチはみんなと仲が良いみたいだ。
このちぐはぐな5人が、意外と全体的に見ると仲が良いのは、ハコのおかげかもしれない。
声真似・・・は、ビザンとゲッカの真似をしていたな。いかにも女性と言う感じだったが似てはいる。
声の高さはサチとビザンの中間くらい、だろうか。

ふむ・・・つまみがなくなった。
それに考えるのもこれくらいだろうか。
疲れか恐怖か緊張か、私はそ晩酌をしていた机の上でそのまま、眠りについた。
しかし数時間後、目が覚めた。尿意などではない。物音だ。
私は酒を飲んだこともあり、半ば夢心地だ。
そう、まるで夢の中。
ふらふらと、音のするほうへ行く。母の部屋だ。母がいる。母が帰ってきた。
ああ、あなたはまたお金を求めて帰ってきたのですか。私ではなく。
「・・・お母さん」
ぽつり、呟く言葉に振り向く影。
過去がよみがえるようで、私は身を強張らせ、か弱く小さな悲鳴を上げる。
少しの時、影は私を見つめた後に窓から出て行った。
そこで気付いた。これは現実だ。夢ではない。母ではない。
では、あれ誰で何をしていた?
心臓の高鳴りに怯える自分にイラつきながら、私はすべての窓やドアを施錠確認した。
・・・1つだけ、あの母の影の幻を見た部屋、誰かがいた部屋、あそこの部屋の窓だけ開いていた。
きっとそこから入ってきたのだろう。
手持ちの懐中電灯で部屋を、箪笥を、確認する。
・・・特に何も取られてはいなさそうだが、少々荒らされている。何かを探そうとしたのか?それとも・・・。
いや、考えるのは良そう。戸締りもした、酒もまた飲もう。そして寝よう。
私は・・・この事を誰にも伝えず眠りについた。



ノットフェイス プロローグ 了

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【投票型小説】ノットフェイス【プロローグ2】

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少し夢の中で休みたい

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2・酒を飲むことにした

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投稿日:2017/09/23 00:14:02

文字数:2,238文字

カテゴリ:小説

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